「女性セブン」も見出しにしていた“キスNG”問題となると、もはや言いがかりとしか思えない。『あまちゃん』で能年が福士蒼汰とのキスシーンを拒否し、“疑似キス”になったというのだが、そもそもNHKの朝ドラでリアルなキスシーンが放映されることなどめったになく、逆に『マッサン』でキスシーン放映された際に異例だと騒ぎになったくらい。『あまちゃん』の設定は17歳であり、NHKがキスを要求することはありえない。
しかも、驚いたのが、発売前から噂になり、記事のタイトルにもなっていた「逆ギレメール」や「録音テープ」の内容だ。「逆ギレメール」は演出トレーナーの滝沢氏との関係を糺したX女史に“次に私の恩師をバカにしたら許しません。怒りで仕事どころじゃなくなる”と書いているだけ。
「ヤンキー口調」という噂もあった録音テープの中身は、なぜ辞めたいのかという事務所の社長に対して能年が「仕事をさせてもらえないからです。事実、連ドラは入れてもらえていません。もうすぐ私の20歳という歳が干されて終わる」という、むしろ悲痛な心叫びともいえるものだった。週刊誌関係者が語る。
「ようするに、『ポスト』の記事はレプロのH社長の指示通りに書いたからああいう無理矢理な感じになったんでしょう。もともと、今回の記事は、『ポスト』『セブン』だけでなく複数の週刊誌にレプロ側から持ち込まれていた。ただ、最初はそういう激しい口調のテープやメールがあるという話だったのに、詳細を聞いてみるとたいした内容でもない。これでレプロを擁護し、能年を叩くのは無理があると、みんな引いちゃったんです。そんななか、『ポスト』は上層部がH社長と親しく、引き受けてしまった」
しかし、そう考えると、つくづく不可解なのが、どうしてレプロはそこまでして能年のイメージを損ね、商品価値を下げたいのか、ということだ。事務所からの独立を考えているとはいえ、現段階ではまだレプロに所属していて、しばらくの間稼いでくれる存在である。能年の希望通りの仕事を与えて、やる気を引き出せば、まだ関係修復もありうるような気がするのだが……。しかし、前出のレプロの内情に詳しい関係者はこう語る。
「H社長のキャラクターとしかいいようがないですね。とにかく感情的な人で、一度キレたら手がつけられない。素材を見ぬく目はもっているんですが、自分の感情や思いつきを押し付けすぎるので、その後の作品選びや戦略で失敗しているケースが多い。計算ができないんですよ。能年についても、もう、商売とかどうとかじゃなくて、子供の喧嘩みたいになっている。そういう意味じゃ、芸能プロデューサーとしては失格かもしれませんね」
実際、事務所の戦略ミスやマネジメントの強引さによって、能年は彼女のいうように20歳、そして21歳を期待以上に輝けないまま終えてしまった。しかも、今、レプロはその存在を完全にツブシにかかっている。つまらない意地とメンツで希有な才能の女優生命を断ってしまうことが、日本の映画やテレビドラマにどれだけ大きな損失を与えるかが、こういう連中にはおそらく理解できないのだろう。
(時田章広)
最終更新:2016.05.24 05:04