いったい11兆円もあれば何ができるのか。たとえば、「子どもにかかるお金は大丈夫だよって、ちゃんと国が責任もって(略)育ててあげますよ、という制度がないと、安心できない」とマツコ・デラックスと持論展開したことから、「マツコ案」として話題になっている保育から大学までの無償化案はこの期間の医療費を含めても計7.8兆円で可能という試算がある(京都大学大学院人間・環境学研究科の柴田悠准教授の試算)。
なお、過去には「2030年までに公的教育予算を10兆円増やし、高等教育も無償化」を提言した下村博文文部科学相案もあり、米国大統領選で民主党のバーニー・サンダース候補が訴える教育無償化は日本では10兆円でできてしまうのだ。
また、福島第一原子力発電所の事故処理の費用(賠償金、除染費用、廃炉費用)は約1000億ドル(約11兆円)とされている(大島堅一立命館大学教授の試算をもとにしたフィナンシャル・タイムズ紙の試算)。
さらになんと「11兆円」は、5%時の消費税の税収と同じなのだ。つまり、タックスヘイブンがなければ、税収が11兆円増えて、消費税は3%でいいということなのだ。
この数字はあくまでも、タックスヘイブンのひとつ、イギリス領ケイマン諸島への投資残高55兆円を見ただけのもので、全体を見れば、もっと大きな金額になるだろう。富裕層たちの租税回避行為がいかに日本の将来を暗いものにしているのか、十分おわかりいただけたと思う。国民はもっと怒るべきなのだ。
(小石川シンイチ)
最終更新:2016.05.11 08:22