ファーストリテイリング公式サイト経営方針「トップメッセージ」より
タックスヘイブン(租税回避地)を利用して資産隠し、税逃れをしていた個人・企業を告発した「パナマ文書」が大きな話題になり、日本の企業や資産家の名前も次々出てきているが、これはあくまでパナマの法律事務所を通じて税逃れを行ったケースのみだ。
実は、他にも、タックスヘイブンを使った税金逃れをしていた大物企業オーナーの名前と手口がここにきて明らかになった
まず、ユニクロの柳井正ファーストリテイリング会長兼社長は保有する自社株531万株を、安田隆夫ドン・キホーテホールディングス最高顧問は保有する自社株約1550万株をそれぞれオランダの自らの資産管理会社に譲渡していた。
さらに、福武總一郎ベネッセホールディングス最高顧問とその妻にいたっては、保有する自社株1361万株を、ニュージーランドの自らの資産管理会社に譲渡。さらに総一郎氏は自らの住所も岡山市からニュージーランドに移していた。
これらの驚愕すべき租税回避行為を明らかにしたのは9日付「しんぶん赤旗」だ。
記事によれば、オランダは「資本参加免税」制度があり、同制度では、オランダに居住する法人が、同国または外国の事業体の発行済み株式の5%以上を継続保有すれば、配当と売却益が非課税となる。柳井氏は自社株の5.01%、安田氏は同9.81%をオランダの資産管理会社に保有させており、オランダの「資産参加免税」を受けることで、日本の租税負担を回避しているのだ。
ユニクロの柳井氏のケースでは531万株の配当金は年18億円以上。日本で株を保有する場合と比べ所得税と住民税を年約7億円も租税回避している計算だ。
また、ニュージーランドに移住したベネッセの福武氏の目的は親族への相続だ。ニュージーランドは相続税・贈与税の最高税率が55%の日本とは異なり、贈与税、相続税がないのだ。ただし、多額の税負担を回避するためには相続人と被相続人の双方が、海外に住所を移して5年以上、経過しなければならない。福武氏のほかに相続人もすでに海外移住を果たしている。資産額1383億円とされる總一郎氏の財産について税負担を回避し相続する準備が着々と行われているのだ。