とくに、高橋ファンは「古参のファンほど一目置かれる」(『スケオタあるある』より)そうで、ファン歴長めのスケオタが多いという。日本男子フィギュア界の道を切り開いたパイオニア、歴史を塗り替えた存在とも言われる高橋を長く応援してきたからこそ、絶対的存在であった彼のポジションを守りたいという思いが人一倍強いのかもしれない。
高橋の引退で高橋ファンと羽生ファンの争いは終結したかに見えるが、しかし羽生をめぐる争いの火種は高橋だけではない。
高橋に代わるライバル登場で新たな火種も生まれているらしい。それが、新星・宇野昌磨の存在だ。宇野はかわいらしい弟キャラとしても人気で、ファンからは「しょーま様」の愛称で親しまれている17歳の高校生。その表現力の高さから“ポスト高橋”“高橋2世”とも言われるが、自身も憧れのスケーターとして高橋大輔の名をあげており、高橋ファンのなかには宇野を応援している人も多い。シニアデビューした今年、早くもグランプリファイナルで3位に入る活躍を見せている。見た目、実力ともに、ライバルとして申し分なく、ネットでは羽生派と宇野派ですでに盛り上がりを見せている様子。つい先日も、羽生が年下の宇野をいじる様子がネットニュースで話題になっていたが、「イチャイチャしている」「萌える」「羽生くん、ドS」とよろこぶファンがいる一方、「しょーまは嫌がってる」「イジメ」「パワハラ」などと憤慨するファンもいて、ちょっとした論争になっていた。
さらに、なぜか試合ではライバルにならないはずの、女子選手である浅田真央ファンも羽生に対して微妙な感情をもっているという。羽生のコーチであるブライアン・オーサー氏は、浅田最大のライバルだったキム・ヨナがバンクーバー五輪で金メダルをとったときのコーチ。そのため、キム・ヨナと羽生を重ねて見てしまうようだ。ネット上で「羽生くんが真央を無視した」「真央の国民的人気は別格」「真央のほうがCM本数が多い」などと謎の対抗心を見せる浅田ファンも少なくない。
男子選手だけでなく、女子選手のファンからもライバル視されるとは……。全方向にアンチがいるのも、羽生がフィギュア界最大のスターの座にのぼりつめた証なのかもしれない。
(田口いなす)
最終更新:2017.11.24 09:31