それにしても、この記事を読むほとんどの読者が、彼女たちの言う「保守オヤジ=ネトウヨおじさん」だと思われるが、一体、「正論」はどうしてこんな“自虐”記事を掲載したのか。「やっぱり僕たちってダサくて話が上から目線でヘイト満載らしいですよ!」と猛省しようとでも考えたのだろうか。
だが、答えはもっと単純である。というのも、現在、保守派の最大のターゲットは、“女子”だからだ。
実際、日本会議は、日本会議御用達の出版社・明成社が昨年発売した『女子の集まる憲法おしゃべりカフェ』(監修は安倍首相シンパの百地章・日本大学教授)を猛プッシュ。同書をテキストにして、「憲法おしゃべりカフェ」なる女性向けイベントを全国各地で開催している。しかも同書は初っ端から「首都直下地震とか南海トラフ地震とか怖いわよねぇ…」と題し、緊急事態条項の創設を煽るほか、「まさか!? 中国は沖縄まで狙っているの!?」「えっ! 日本国憲法ってアメリカ人が作ったの!?」と、日本会議および右派の主張がてんこ盛り。ついでにいうと、「やった!自衛官との合コン決定♪ 自衛隊ってかっこいいよね!」なんて項目があることからもわかるように、完全に女を小バカにしたつくりだ。
安保法制の議論では、母親をはじめとする多くの女性たちが危機感をもち、行動に出た。この動きに対して右派側は「それならこちらも女子を取り込まなくては」と躍起なのだ。つまり、今回の「正論」記事の狙いも同じで、「自分たちはダサくて話が上から目線でヘイト満載な部分もあるけど、女子の意見も聞くんですよ!」というポーズをとってみたのだろう。
でも、まさか一方的に非難されっぱなしのこの記事を読んで「おれも知識を押し付けず、女子の話をきちんと聞こう」と反省する「正論」読者のおじさんは皆無だろうし、肝心の女子側も、「保守女子って楽しそうだな♪」などと思う人はいないはず。結局、「保守女子になればこんな気持ちの悪いおじさんたちに囲まれるのか!」というおぞましさだけが読後に残る「誰トク?」な記事に仕上がってしまった。
そう考えると、「正論」編集部も本質は保守オヤジと同じ、やっぱりズレてるってことなのだろう。
(大方 草)
最終更新:2018.10.18 03:08