「文化的なイベントとしての国際映画祭は右翼に屈服してはいけない。日本は法治国家だから、右翼が来るなら警察を呼んで守ってもらえばいいんです」
萎縮するな、そうでなければ映画界は衰退する──。こうした山本氏の態度は、小栗の姿勢にも相通じる。本サイトで既報の通り、小栗は昨年、「クイック・ジャパン」(太田出版)vol.115に掲載された鈴木亮平との対談で「僕らの同世代でも上の世代でも「この人、何も考えてないのによく生き残ったな」っていう人はいますから。事務所の力もありますし」と、堂々と芸能界批判を展開。さらに、俳優の労働条件を改善するべく、俳優のための労働組合づくりを「ぼちぼち本格的にやるべきだなと思っています」と口にした。
しかも、小栗は芸能界の暗部ともいえる大手プロダクションの権力をほのめかすように、こうも話した。
「「自分は誰かに殺されるかもしれない」くらいの覚悟で戦わないと、日本の芸能界を変えるのは相当難しいっすね」
殺される覚悟ででも芸能界を変えたい。それはスキルのある役者がきちんと評価され、勝負できる環境に変えたいという小栗の強い信念の表れだ。山本氏は「自分の力で映画一本を支えられるスターを育てる」という思いから芸能プロダクションを設立したが、そんな山本氏の心意気のなかで育てられた小栗だからこそ、最近の芸能人にはあまりない“改革心”を抱くようになったのだろう。
山本氏の熱さが小栗に伝播し、それが綾野をはじめ、小栗を慕う鈴木亮平や山田孝之らにも流れていく。そう考えると、山本氏の豪気さが、芸能界に小さな風を生み出しつつあるのかもしれない。
(大方 草)
最終更新:2015.11.06 11:07