実は今回の出産シーン放映もそうだった。出川に触発されて大島が「リアクション芸」として思いついたものが、結局は、涙、涙の感動ドキュメンタリーになってしまっていた。
そのスタンスは、本業である放送作家の仕事にも悪影響を与えている。今回の『イッテQ!』は平均視聴率18.5%の好視聴率をマークしたが、鈴木が放送作家をつとめている他のバラエティ番組は思うように視聴率がとれず、『ペケ×ポン』(フジテレビ系)のような人気番組ですら視聴率1ケタ台まで落ち込むようになってしまった。脚本を担当した映画『新宿スワン』も評判は最悪だ。
先日、鈴木は、今後約1年間、テレビの放送作家業を休止すると発表したが、このままいけば、放送作家を廃業してしまう可能性もあるのではないだろうか。もしかしたら、童話作家かビッグダディのような子育てドキュメンタリストになってしまうかもしれない。
しかし、妻と子のために仕事を捨てるというのは、夫にとってはひとつの愛情表現ともいえる。
夫のために自分の性まで暴露する妻と、その妻との関係を番組化することに夢中になって仕事を捨ててしまいそうになっている夫――。そう考えると、鈴木・大島の夫婦生活の暴露は、「私生活の切り売り」などでなく、テレビ人夫妻ならではの「究極の愛のかたち」だったということなのかもしれない。
(新田 樹)
最終更新:2015.07.08 01:25