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厳しい取締りでさらに危ないドラッグが…半グレも逃げ出す危険ドラッグ業界の末期症状

「僕らはビールを売っていたつもりだったけど、売っちゃいけないというので、次に発泡酒や第三のビールを売った。そしたらそれもダメというので、裏技を使うつもりでハイボール、ワインを売った。それもダメとなり、この後、どうしたらいいか。残っているのはウォッカしかないよとなり、今はそれも全部ダメ。アルコール度97%のウォッカしか残ってない状態です。要するに危険な薬物しか残ってない」(P)

 ある化学物質の規制により、それと似た化学式の物質を使い……というイタチごっこの結果、危険ドラッグは形を変え続け、もはや元業者も“危険な薬物”と言ってしまう有様となった。

 冒頭に記した殺人ドラッグ「ハートショット」は、製造元「SSC」の元幹部社員Rによれば〈2014年になってから新社長の下で開発された〉という。前体制の頃「軽く爽やか、ライト層を掴もう」をコンセプトにして開発した弱めのドラッグだったが、全く売れなかった。そのうち前社長が家宅捜索を受け逮捕、Rも会社を離れたが「倉庫にはハートショットのパッケージだけはたくさん積み上げられていた。それをSSCの新体制が流用したのではないか」とRは言う。

「2013年、最初のハートショットは軽すぎて売れなかったから、今度は濃度を強めたんでしょう。が、行き過ぎで、掛けるパウダーがあまりにも強かった」(R)

 しかし、この、より危険な物質を探して商品にするというやり方にも限界があったようだ。とくに13年、厚労省による危険ドラッグの「包括指定」の影響は大きかった。これは物質の基本的な化学構造を基本骨格ととらえ、同じ基本骨格を持つ物質を規制対象とするものだ。化学式の枝葉だけを変えても通用しない時代になったのである。

 同書の著者の溝口は現状を〈危険ドラッグ業者の多くは日本では包囲網が狭まり、身動きが難しいと感じている〉と分析している。

 さらに、捜査機関が税関での“水際対策”を強化したことで、海外で製造した危険ドラッグを輸入することが以前よりも困難になってきた。危険ドラッグ業界で中国への送金代行をしているFが知る業者の話によると、

「中国の製薬メーカーに500万円を送金し、中国から2014年12月中旬、荷がヤマト便の配送所に届いた。夕方受け取りに行き、荷を会社に持って帰ったが、会社に荷を置いておきたくなく、その夜は自宅に持って帰った。と、次の日の朝、警察が家宅捜索令状を持って自宅にやってきた」

 という。なぜ警察がガサに来たのか。〈弁護士の見立てでは東京税関がコントロールドデリバリーで荷にGPSを仕込んだというものだ〉というから、国内での製造における逮捕のリスクを回避しようと、海外で製造したものを輸入したとしても、同じくリスクは避けられない。

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