それは、川奈の引退作について、ふたりがプランを練っていたときだった。いままでやっていないプレイを入れようという話になり、
〈川奈「ウンウン考えていたら、“あっそうだ、《生中出し》はしたことなかった”って気付いて……」
溜池「じゃあ初めてハメ撮りしたところに行って、最初で最後の中出しをしよう、と。中に出したら赤ん坊もできちゃうかもしれないから、もしも妊娠したときのことを考えて先に籍を入れておこうって決めたんだよな」〉
しかし、女優と結婚するということは、いわば「プロダクションの大事な商品に手を出した」ことである。筆者も、AV女優に手を出し、「早朝6時に呼び出され、『いますぐ喫茶店を開けてこい。そこで話をつけてやる』と言われ、街中のドトールのシャッターを泣きながら叩きまくった」男や、「会社から帰宅中、突然目の前に黒塗りの車がついたかと思うと、ドアが開き引きずり込まれ、事務所に連れられ数時間土下座させられた」男を知っている。
どちらも最終的には多額の金を払い解決しているが、溜池は一体どんな目に遭ったのだろう……。
〈溜池「社長に“川奈をください!”ってワシが頭を下げたら、社長さんが、ワシじゃなく、そばで見守っていた川奈に向かって“生きたまま伝説になれ!”って言ったんだよ」〉
どうやらすんなりいったようだ。さらに、双方の家族も大歓迎。
〈溜息「ワシにも川奈にもそういう特殊な事情があったから、双方の親はもろ手をあげてワシらの結婚に賛成。“やっとまともな形に収まってくれるんだ”って思ったんだと思う」〉
〈川奈「それまでの私たちの行いが、親にとってみたら悪すぎたから、私たちが結婚することを一種の更生ととらえたフシがある(笑)」「AV監督だからダメだとか元AV女優だからイヤだとか全然言われなかった」〉
おめでたいことはまだまだ続く。引退作発売日、引退イベント後に生理が来ないことに気付いた川奈は、〈「イベントの後、薬局で妊娠検査薬を買ってきて検査したら陽性だった」〉、つまり、妊娠していたのだ。