〈撮影期間四日間、カメラが回っている間もずっと彼とだけ話をしている感覚にとらわれるようになり、気がついたときには、スタジオの中で移動するたびに私の方から彼を探して、姿を目で追うようになっていました〉
川奈も恋を自覚した瞬間だった。かくして、発売した『義母まり子34歳』は爆発的ヒットを記録。AV界に美熟女ブームをつくり出し、今日までの熟女ブームに続いている。
すぐに付き合い出したふたり、お互いのセフレは離れていったが、実は溜池には10歳年上の内縁の妻がいたという。
川奈は彼女の話を聞いてはいたが、〈一度も奥さんの悪口を言いませんでした〉という溜池と彼女の関係に、一度も嫉妬したことがなかった。
溜池はそんな川奈の境地まで降りようと、加藤鷹に川奈を抱かせたところを、いつもはカメラマンが撮るのに自ら撮るという、いわば「寝取られ」作品も製作している。
2000年1月1日、「カミさんとは、川奈とするようには自由に話せない。川奈にはすべて曝け出せるけど、カミさんには見せられるのは俺のほんの一部だけなんだ」というように募る川奈への想いが止まらなくなっていた溜池は、内縁の妻に別れを切り出した。
しかし、すんなりとは別れられなかった。溜池は家に監禁され、包丁をつきつけられ、内縁の妻は手首を切り、川奈の実家には怪文書が送られ、ふたりは必要最低限の荷物片手に、ウィークリーマンションへ逃亡した。同年2月末にやっと示談で事態が収束したが、溜池は無一文に、川奈の貯金も底をつきていたが、そんな状況がふたりの絆を深めていた。
かなりドラマティックな展開で、結婚のきっかけもさぞドラマティックに違いないと思いきや……。