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イルカ追い込み漁は残酷じゃない? だったらテレビはなぜ漁の詳細を報道しないのか

 たとえば、前述の『ミヤネ屋』では、イルカ追い込み漁を「複数の船で音を立てながらイルカやクジラを湾内に追い込んで捕獲する伝統的な漁法」とだけ説明。『とくダネ!!』(フジテレビ系)、『ひるおび』(TBS系)などもほぼこれと同様で、これでは何が欧米から残酷だと言われ、日本側がどう残酷でないと反論しているのか、視聴者はまったく判断できないだろう。

 いったい、追い込み漁とはどういう漁法なのか。沈黙するテレビ各局にかわって、調べてみたところ、わずかだが、その詳細を書いている本があった。

 そのうちの一冊が『イルカを食べちゃダメですか? 科学者の追い込み漁体験記』(関口雄祐/光文社新書)。行動生理学の研究者として現在千葉商科大学で准教授を務めている著者が、和歌山県・太地町でのイルカ追い込み漁船に2003年まで便乗した経験を綴ったものだ。

 同書によると、海に出ていた数隻の船がイルカの群れを発見するところから、イルカ追い込み漁は始まる。

「追い込み方法そのものはものすごくシンプルで、獲物の群れを後方側方から追い立てて目的の方向へ誘導するのだ。ヒツジと牧羊犬の関係を、イルカと追い込み漁船団に置き換えれば想像しやすいだろうか。牧羊犬は、ヒツジの群れの周囲を吠えながら駆けずりまわって誘導していく。同様に勇魚の船は、鉄管を叩いて威嚇音を出しながらイルカの群れのまわり三方を囲み、誘導したい方向にイルカの逃げる方向をつくることで徐々に導いていく」

「鉄管」というのは、直径10センチ、長さ5メートルほどの鉄製の棒のようなもの。先端の2メートルほどが海中に入り、反対側はデッキの操舵席横になるように設置される。この鉄管が「追い込み漁の要」であるという。

「これ(鉄管)を鉄槌でガンガン叩く、叩く、また叩く。そのうちジ〜ンジ〜ンと腕にも響いてくるが、獲物を前に怯むわけにはいかない」

 そうしてイルカたちを不快音で湾内に追い込むと、逃げられないように魚網を素早く展開する。そして、いったんそこで泳がせておいて、翌日の早朝から、陸班、海班、船班に分かれて捕獲作業に移るのだという。

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