しかし師匠のアドバイスに耳を傾ける気もなかったのか、それから4年経って性懲りもなく、古市くんはますますメディアに露出するようになっている。そんな古市くんと小熊の誌上座談会が、最近になって再度行われた。その名もズバリ「古市くん、社会学を学び直しなさい!! 自称社会学徒が日本を代表する社会学者をたずねる」(「小説宝石」2015年4月号/光文社)。
冒頭、小熊は今日の日本で社会学者は「評論家」として流通していると語る。本来、社会学はインタビューやフィールドワーク、ないしデータの統計的分析などに支えられた「実証的学問」である。しかしマスコミが便利屋を必要とする結果、「社会学という学問とは切り離されて『評論=社会学』というイメージが定着していった」のではないかと小熊は指摘する。……これ、まんま弟子のことを指しているとしか思えない。古市くんはつまるところ「社会学者」ではなく「薄口社会評論家」なのだ。そう考えればその言動の浅さにも納得がいく。こういう「薄口評論」が曲がりなりにも「論考」として流通してしまう今の言論界って、本当に大丈夫なんだろうか。
黙っていられないので、ともに叫ぼう。「古市くん、社会学を学び直しなさい!!」。学問や研究というもっともらしいヨロイをつけて、今社会のなかにある差別に加担するのは、本当に勘弁してほしい。古市くんこそ「ありのまま」の発言をやめて、学問の世界できちんとした修行を積み直してほしいものだ。
(明松 結)
最終更新:2015.06.16 01:15