『セックスのすすめ』(双葉社)
昨年、日本史上最小を記録した出生数。「2014年の人口動態統計」(厚生労働省)によると、昨年1年間に生まれた子どもの数は、前年から7000人減の約103万人だった。そもそも、それ以前に性への関心も薄くなっているといい、「第14回出生動向基本調査」(国立社会保障・人口問題研究所)によると、18歳から34歳までの女性の39%が処女、男性の36%が童貞だというデータも出ている。
国にとっては由々しき事態かもしれないが、こうしたデータが出ると「セックスの歓びを知るべき」「性の感動を知らずに死ぬつもりか」などと説教を垂れる輩が得てして現れるもの。処女だろうが童貞だろうが他人に何の迷惑もかけていないのだから「ほっといてくれ」という話なのだが、そんななかでも、とりわけ鼻息荒く「セックスをしなさい! これからの日本を担っている若い世代に提唱したい」と吠えている男がいる。昭和18年生まれ、これまで2000本もの作品を生み出した70歳超えのAV監督、ヘンリー塚本氏である。
塚本監督は最近、著書『セックスのすすめ』(双葉社)を出版し、「今、女のオマ◯コを愛おしく思える男が少なくなってきている」「若い人の間では『気持ち悪い』『グロテスクだ』などと忌み嫌う傾向もある」と憂えているのだ。その理由のひとつにあげるのが、ネット上での無修正女性器の氾濫だ。
「童貞は苦労しなくても、未知なる生き物だったオマ◯コの正体が分かってしまう時代である。しかも、それは自分の手の届かない、まったく現実味のない女のオマ◯コである」
「どこの誰とも知らない、ましてや自分の力で手に入れたわけでもないオマ◯コばかり見ていては、生身のオマ◯コへの愛情も湧き上がってこない」
いや、そこまで神格化して固執されても困るんですけど……という女の声は、齢70歳超えの塚本監督には届きそうにない。塚本監督といえば、ノスタルジックな昭和の風景を盛り込んだ作品で知られるが、実際に彼のオマ◯コとの出会いは、それはそれは衝撃的なものだったらしい。
ある日、童貞の塚本少年は、隣家に住む人妻が庭先で洗濯物を干す場面に出くわす。すると風が吹き、一枚の布が物干し竿から落ちたそのときだった。
「人妻が前かがみになり、布を拾おうとした瞬間、私の胸はひどくときめいた。一瞬であったが、肉感的で白い太ももが見えて、さらに着物の奥に秘められていた黒いヘアがチラリと目に飛び込んできたのである」
そんなフランス書房の官能小説のような人妻エロスが現実にあったのか!?と驚いてしまうが、当時の女性は着物の下に下着をつけないのが通例。かねてから塚本少年は彼女のオマ◯コに興味津々だったこともあり、しばらくは勉強も手につかないほど、オマ◯コが目に焼きつて離れなかったという。さすがは昭和の童貞。それが隣のおばちゃんだろうが、もはやオマ◯コなら何でもよさそうだ。