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戦争犯罪を否定する“歴史修正主義者”産経が「ユダヤ」の抗議に全面降伏した理由

 ところが、同誌の2014年10月号「特集 朝日新聞炎上 ; この偽善が鼻につく 朝日新聞への我が一撃 次は『南京』」(西尾幹二)では、「虐殺」自体を否定するのだ。

「南京虐殺の実在しないことは北村稔氏、東中野修道氏その他多くの方々の献
身的作業で論じつくされ、敵性国家中国の対日攻撃手段の一つと今では見なされている。つまり、南京を言い立てる者は中国のイヌである」(同記事より)
 
 日本人が行なった不始末は「誰かが仕掛けたもの」「そもそもなかったもの」という謀略史観的な記事ばかり。こうした姿勢は、「ホロコーストはなかった」という歴史修正主義とそっくりではないか。

 そして、こうした歴史修正主義的主張に対して、韓国や中国から抗議や批判を受けても、産経は一切受け付けない強硬な姿勢を示している。にもかかわらず、ユダヤ差別、そしてユダヤ人団体・SWCからの抗議に対しては本の広告を出しただけですぐに平謝り。この差はいったいなんなのか。

 それは、ズバリ広告圧力である。産経以外でも、日本のメディアはユダヤ人団体・SWCから抗議を受けると、その要求をすべて受け入れ、全面謝罪をしてきた。たとえば、1995年2月には文藝春秋が発行していた「マルコポーロ」がホロコーストを否定する内容の記事を掲載してSWCから抗議を受けたのだが、発売からわずか2週間後には、発行元の文藝春秋が同誌の廃刊と掲載号の回収、さらに花田紀凱編集長の解任を発表した。さらに、同年5月には社員130人を集めてSWC幹部が講師を務めるホロコースト研修を三日間にわたって受けさせるという徹底ぶりだった。

 他にもこんな事例がある。99年10月に小学館「週刊ポスト」が「長銀血税5兆円を食うユダヤ資本人脈掴んだ!」なる見出しの記事を掲載。SWCから抗議を受けた発行元の小学館は、幹部が米国に出向いてSWC側と交渉し、「週刊ポスト」誌上に検証記事と、2分の1ページに及ぶ謝罪広告を掲載することになった。さらには新聞広告でも謝罪し、ユダヤ研修を実施している。

 こうしたメディアの弱腰は、SWCの抗議のやり方に関係している。SWCはメディアに抗議する際、スポンサーに広告を引き上げるようプレッシャーをかけるのだ。「マルコポーロ」事件でも、「週刊ポスト」事件でも、SWCは真っ先に両社の広告主に出稿拒否要請をしている。

 しかも、SWCがこうした要請をすると、ほとんどのスポンサーがそれに応じてしまう。米国では企業が反ユダヤ主義という烙印を押されると、商品ボイコットの動きが起きたり、ユダヤ系の強い金融機関や半導体企業から取り引き停止を言い渡されるなど、事実上、ビジネスができない状況に追い込まれるからだ。

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