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質問を鼻で笑う前田敦子、陰謀論に喜ぶ平子理沙…吉田豪がインタビュー裏話を大公開

 逆に、インタビュー相手と大いに盛り上がっても、関係者が記事にダメ出しするケースもある。たとえば、吉田が〈とある美容&ファッション系の女性誌〉でインタビュー連載をやることになったとき、第一回目のゲストとして登場したモデルの平子理沙の場合。まず、彼女の過去の音楽活動の素晴らしさを吉田が伝えたところ、「今からレコード会社の前の担当者に会って、また音楽をやりたいって言ってくる!」と言い出すほどに平子は気をよくしていたようなのだが、〈ブログにフリーメイソンの墓のことやフォトンベルトのことを書いてたりの陰謀論&超常現象的な話〉まで話題を掘り下げたのがよくなかったのか、〈原稿チェックに出したら大変なことに〉なってしまった。結局、大幅な手直しを余儀なくされ、前後編の後編は掲載不可になってしまった挙げ句、〈連載はこれ一回だけで終了!〉となってしまったという。これは吉田にも平子にも罪はなく、編集サイドのヘタレっぷりが露わになったエピソードだろう。

 余談だが、このとき平子は〈携帯の番号を書き加えた名刺〉を吉田に渡したほどで、吉田本人も〈夫である吉田栄作よりも話が合ってる気がするほどで、これは何かの間違いでも起きるんじゃないかと思えるぐらいだった〉らしい。同様に、さとう珠緒にも「吉田さんのことがもっと知りたい!」「今度、飲みに行きましょうよー!」と誘われたというが、このおいしい誘いには乗ることもなく、取材後にデートしたのは米良美一だったそう。インタビュアーのなかにはアイドルやタレントを口説くことばかり考えていそうな人間もいるが、〈誰でも誘ってそうなさとう珠緒よりも、めったに人を誘うことがなさそうな米良さんのほうが貴重だし!〉と言い切るあたり、さすがは吉田豪である。

 このように、インタビューの極意を知ることができるばかりか、著名人の裏話が尽きない本書。だが、そんななかでもっとも興味深いのは、芸能人ではなく、著者である吉田豪本人のエピソードだ。

 時は遡って彼が専門学校生だった時代、吉田青年は喫煙所で会う掃除のおばちゃんの愚痴話を聞いているうちに学長の愛人話をキャッチ。「これは面白いことになってきた」と思い、教師にも愚痴を聞いてみたところ、「学校案内のパンフに載ってる体育館、あれ本当はないんだよ」「学長が脱税で二度逮捕されてる」といった情報が出てきた。さっそく裏を取るべく図書館に行って新聞をあたったら〈無事に二回分とも脱税記事を発見!〉。そして、吉田青年はこの調査結果を専門学校の卒業制作に。なんと、学校の暴露本を卒業制作にしたのである。これはなんともすばらしすぎる作品だが、しかし、これまでは卒業生の作品は上野の森美術館に展示されるシステムだったのが、この年から代表者のみの展示となったらしい。もちろん、そんなことに怯まない吉田青年は〈その暴露本を勝手に美術館に展示してくるというテロを仕掛け〉たという。

 吉田豪いわく、〈自分がインタビューのプロを図々しくも名乗れるポイントがどこにあるのかというと、技術的なことがどうだとかいうよりも、どんな危機的状況でも動じず、流れに身を任せることができるのが大きいんじゃないかと思っている〉というが、それを可能にするのは、自分がおもしろいと思うことを人に伝えることへの並々ならぬ貪欲さがあるからだろう。本の帯には仰々しく《対人関係・人間力の磨き方のヒント》と銘打たれているけれども、たしかに『嫌われる勇気』などの自己啓発本を読む時間があるなら、こっちのほうがよほど人生に効きそうだ。
(サニーうどん)

最終更新:2017.12.09 04:56

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