小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

menu

危険ドラッグ製造工場に潜入! 場所はフツーの民家で原価は百数十円!

 しかしこの製造過程だけ見ても、脱法ハーブがどれだけ得体の知れないものなのかが分かる。よく分からない葉っぱによく分からない薬剤を吹き付けて作られたものであるからこそ、どう作用するかが分からない。著者の友人だという救急救命士は本書で「2010年頃から脱法ハーブが原因と見られる救急搬送が一気に増加した」と振り返り、さらに対応の難しさをこう訴えている。

「同じような症状の患者が一定数いたので調べてみたら、原因は脱法ハーブだった。原因はわかったが脱法ハーブ自体の知識もなく、症例も少ない為、救命士も医師も適切な処置がわからない。とりあえず、覚せい剤中毒患者と同じ処置で乗り切った。救急病院でもこれは同じ事だったが、処置をしても、原因が分からないからとりあえず患者の容態が落ち着いたら帰す、くらいしか出来ない。このような状態はいまもさほど変わらないはず」

 また脱法ドラッグは依存症に陥ることはない、というのも間違った認識で、薬物患者の更生施設では「この数年で脱法ハーブ依存症に悩む入所者が爆発的に増えている」のだという。更生施設職員も本書で「強烈な精神依存はもちろんですが、物忘れや判断能力の低下といった、統合失調症に似た症状がよく見られます。普通の統合失調症より重い症状の方が多く、回復が非常に難しい」とこう本音を漏らしている。ハーブの吸いすぎが原因で肺気胸になったり、倦怠感が続いたり、食欲の低下でやせ細ったり、さまざまだという。

 安易に使用して身体に異変をきたしても、医療機関での対応はマニュアル化されていない。化学物質は刻々と変わるうえに製品によって効き目が違うため症状もさまざま。依存症に陥ることもある。脱法ドラッグは確実に体を蝕んでいくのである。
(寺西京子)

最終更新:2017.12.09 04:46

関連記事

編集部おすすめ

人気記事ランキング

カテゴリ別に読む読みで探す

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。

プッシュ通知を受け取る 通知を有効にする 通知を停止する