プラチナムプロダクションより
先日、『ウチくる!?』(フジテレビ系)で、振付師であるKABA.ちゃんが「45年育ったタマ取りました」と告白した。どうやらKABA.ちゃんは睾丸摘出手術を受けたものと見られるが、同番組では「戸籍変える」という発言も。現在、日本において戸籍上の性別変更を行うには“希望する性別の性器に似た外観にする必要”があるため、今後はさらに性別適合手術を受けるのではないかと思われる。
まだまだとはいえ、性同一性障害への理解も進みつつある現在。しかし、性別適合手術というのはどんなものか、詳しく知っている人は少ないはずだ。一体、具体的にはなにをどうするものなのか……。今回は、エッセイスト、イラストレーターとして活躍する能町みね子氏が性別適合手術を受けた際の実録エッセイ『トロピカル性転換ツアー』(文春文庫)から紹介したい。
まず、男性から女性への手術はどのように行うのか。能町の解説を引用しよう。
「チン子の中身の、海綿体とよばれるスポンジの部分(興奮すると血がたまってふくらむところですよね)を全部かきだして、皮だけを残して、亀頭のところをクリトリスに、棒だったところの皮のヒダの、陰唇とよばれる部分や膣の内壁にするらしいです」
なんだかものすごくアクロバティックな手術のようにも思えるが、亀頭と表皮を活かすのは、「性的な感覚がそのまんま残るらしい」からなのだとか。感度には個人差はあるというが、なるほどである。
しかし、ピアスと同じように、穴を開けるとそれを閉じようとするのが体の仕組み。そのため、ファーストピアスにあたる「ダイレーター」という、「先端の丸まった棒」を「1日に2回か3回、1時間くらいずつ」入れる必要があるらしい。能町にとってはこれがイヤだったようで、たしかに「昼、友だちと遊んでて「ちょっとダイレしてくるね」とか、ない。無理。だってアレですよ。膣に異物を挿入する作業ですから」といわれると、その気持ちもよくわかる。
こうした手術を受けるため、彼女が選んだのはタイのリゾート地・プーケット。しかも、これが初の海外旅行。だが、「ふつう入院2週間、退院後は軽い観光も可、というくらいで、少し大きな整形手術という程度」という認識だったため、「よーし、パーッと気楽に受けて帰ってこよう!」と考えていたらしい。だが、「入院体験は私だけ一筋縄じゃいかなかったんです」と綴っているように、これが波乱に満ちたものとなった。
通常の入院の経過は、1日目に「体調の検査」。2日目は「第1段階の手術」として、「いわゆるゴールデンボール」を取る。5日目か6日目には「詰め物を取り替える手術」、9日目か10日目に「第2段階の手術」として「前に取っておいたチン子や袋の表皮を、膣内の皮として移植」。そこからは2日間くらいは「皮膚移植を安定させるために絶対安静。歩行禁止」となり、「問題がなければ15日目頃に退院」。だが、退院したからといってすぐに帰国するのではなく、「できれば1週間程度は現地にとどまり(中略)そのあいだに一度病院に来て診察を受けることがのぞましい」という。