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偏差値50の高校が開成、灘を制して“頭脳の格闘技”日本一になった理由

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『一点突破 岩手高校将棋部の勝負哲学』(ポプラ新書)

 日本の伝統文化のひとつである将棋。近年、『3月のライオン』(羽海野チカ/白泉社)や『ハチワンダイバー』(柴田ヨクサル/集英社)などマンガの題材に選ばれることも多く、先日も『進撃の巨人』の諫山創が原作者となり、将棋マンガ「the Killing Pawn」(作画・皆川亮二)を「週刊少年マガジン」(講談社)に発表し、話題を呼んだばかりだ。

 こうしたなか、ひそかに注目を集めているのが、高校生によるアマチュア将棋の世界。これがマンガ以上に“スリリングな展開が楽しめる”というのだ。

 高校生が出場できるアマチュア将棋大会には、全国高等学校将棋選手権大会、全国高等学校将棋竜王戦、全国高校将棋新人大会の「高校3大大会」と呼ばれる公式戦があるのだが、さすがは“頭脳の格闘技”といわれる将棋だけあり、灘高校や開成高校をはじめとする数多の進学校が参加している。──ところが、この3大会のうち、全国高等学校将棋選手権大会の男子団体戦において、こうした進学校を抑えて3年連続日本一の栄冠に輝いている高校がある。それは、岩手県盛岡市にある私立岩手高校だ。

 岩手高校の偏差値は50前後。にもかかわらず、70後半の灘や開成を制して頂点を極め続けている。一体、その理由はどこにあるのか? 囲碁将棋部の顧問を務めている藤原隆史氏による『一点突破』(観戦記:大川慎太郎/ポプラ社)には、藤原氏独自の指導方法や、常日頃から心がけていること、そして大会攻略法が記されている。

 まず、岩手高校将棋部の歴史は、藤原氏が同校の数学科教諭として着任した1994年に、将棋好きの生徒3人と「将棋同好会」を結成したことからスタートする。この年に早速、高校将棋選手権・県予選に出場するも惨敗。翌年に「将棋クラブ」に昇格し、徐々に頭角を現していった。97年には高校将棋選手権・県予選で団体初優勝を果たし、岩手県の頂点へ。同好会設立から4年で全国大会への出場切符を手に入れたのだ。

 残念ながら全国大会では1回戦で早稲田学院に敗退したが、この実績が認められ、翌年にはついに「将棋部」に昇格。こつこつと県大会突破を目指し、全国大会出場常連校へ。勝ち上がり方法を模索し続け、ついに2008年、高校将棋選手権・団体優勝を勝ち取った。

 この目覚ましい躍進ぶりの秘密とは何か。藤原氏はどういった指導を行っているのかが非常に気にかかるところだが、本書によれば、その勝負哲学のひとつは「(将棋を)指さない顧問をつらぬく」こと。はっきり言ってしまえば、何も教えないのだ。

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