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マリエに告発された出川はCMゼロも…松本人志も過去に公の電波で枕営業を煽る発言、それでも糾弾しないマスコミ

 そして、こうした価値観を増幅させてきたひとりが、松本人志なのである。実際、「枕営業」という言葉も、日本のバラエティ番組ではしょっちゅうネタにされてきたが、松本も度々ネタにしてきた。たとえば、2018年12月の『THE W 2018』(日本テレビ)の副音声で「敵わないと思う女芸人は?」と問われ、「枕営業をする女芸人」などという趣旨の回答をするなど、様々な番組で「枕営業」を示唆するような発言をしている。

 しかし、この「枕営業」という言葉じたい、女性が主体的に不当な利益を得ているかのように表現することで、男性による性的搾取という事案の本質を隠蔽し、責任や攻撃の矛先を加害男性から被害女性にすり替えるものだ。

 #MeeToo運動の端緒となった、米ハリウッドのハーヴェイ・ワインスタイン氏によるセクハラ・性的暴行の告発問題でも、おぎやはぎ・小木博明が「枕営業」と口にしたり、松本人志も「(日本の番組にも)グレーな女、出てる」と、被害女性側の問題にすり替えていた。

 ようするに、松本はこうやって、公の電波でミソジニー的発言を垂れ流すことで、性的搾取を女性の営利活動と倒錯させる価値観を世間に拡散していったのだ。そして、「下ねた」と称してセクハラ・性的搾取がカジュアルに行われる土壌が温存・再生産されてきたのである。

 しかも、松本がタチが悪いのは、ミソジニー的価値観はそのままなのに、最近は空気を読んで、炎上だけを巧妙に避けるやり方をとっていることだ。

 たとえば、典型が今回のマリエ問題へのコメントだろう。先週11日放送『ワイドナショー』の番組冒頭で、ゲストコメンテーターとして出演していたシソンヌ・長谷川忍が「ズバズバいかせていただきます」と意気込みを語ったのに対し、松本が「ちょっとマリエさんについて」とぶつけて、スタジオの笑いを取ったのだ。

 自分が出川が告発されているのと同じようなふるまいをしているため、この話題を避けたらネットで突っ込まれる。かといって、自分の考えをそのまま口にしたら大炎上になる。だから、自分の見解を一切口にしないで、マリエを笑いのネタにしたのがミエミエだった。

 ところが、ネットの松本信者たちは、いつものように「さすが、まっちゃん」「触れただけでもすごい」などと賞賛、スポーツ新聞も松本の発言を「ぶっ込んだ」「キラーパス」などと持ち上げた。

 前述したように、出川はCM出演がゼロになっているが、それは出川が大御所タレントではないからで、本質を隠すものでしかない。そして、松本はセクハラ、ミソジニー体質を許されたまま、今も“テレビの王”として君臨している。こうした状況を許しているかぎり、芸能界のセクハラ構造はなくなることはないだろう。

最終更新:2021.04.18 06:42

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