そういう意味では、この日の『サンジャポ』の放送内容は「よくやった」というよりメディアとして「当然の姿勢」と言うべきだろう。むしろ、おかしいのは、税金も関わる吉本興業の不正に一切触れようとしない『ワイドナショー』や他のワイドショー、ニュース番組のほうなのだ。連中は触れないどころか、いま、「話が変わっている」と、問題を宮迫らの話だけに引き戻し、吉本批判を封じ込める役割さえ演じている。
それは、結局、テレビ局がこの吉本興業の政権との癒着構造、税金ビジネスに組み込まれているからだ。在京5社・在阪5社のテレビ局が吉本の株主になっていることについては、先週、やはり『サンジャポ』で、デーブ・スペクターが「ありえない、テレビ局は即刻、株を手放すべきだ」と批判していたが、問題は株主ということだけではない。
吉本興業は、安倍政権の公的ビジネスに食い込むのと同時並行的に、テレビ各局のワイドショーや情報番組の司会やコメンテーターに吉本芸人たちを大量に送り込むようになった。そして、そのほとんどが安倍政権に擁護的なコメントをしたことで、安倍政権から気に入られ、関係がどんどん深まっていった面は否めない。
つまり、いまのワイドショーやその出演者は、吉本の公的ビジネス利権参入の共犯者なのだ。中でも最大の存在は、やはり松本人志と『ワイドナショー』だろう。松本は東野幸治やゲストともに安倍政権擁護を繰り返し、安倍首相を出演させ、さらには会食までおこなった。吉本の政権ビジネスが加速したのは明らかにこれ以降のことだ。
しかし、こうした構造があるからこそ、テレビ局は絶対に吉本と安倍政権の癒着ビジネスを批判することなんてできない。吉本への血税投入もコンプライアンス違反やブラック経営体質とともに、ほとんど批判にさらされないままうやむやになり、事業はそのまま続くのだろう。
そう考えると、この国の最大の元凶はテレビ局の体質と言うべきかもしれない。
(編集部)
最終更新:2019.07.29 12:08