ただ、能年が滝沢氏に感じているであろう“私を誰よりも認めてくれる、叱ってくれる”という強い信頼関係は、相互依存という閉じた関係に変わっている可能性だって大きい。多くの報道にあるように、能年が滝沢氏の言うことしか聞かない状態にあったとしても不思議ではないのかもしれない。しかし、事務所のサポートもなく、自分が放ったらかしにされていると悩み、なおかつもっとも注目を集めている時期に演技の仕事ができなかったということが、どれほどこの若き女優を苦しめたことだろう。
多くのマスコミは滝沢氏の洗脳だと書き立てるが、じつのところ、能年の才能の芽を摘んでいるのは事務所のほうだ。──『あまちゃん』で見せた、あの瑞々しい存在感は、このまま闇に葬られてしまうのだろうか。それはあまりにむごく、もったいなすぎる話である。
(大方 草)
最終更新:2017.12.23 07:17