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「月9詐欺で国民騙す」発言も…『デート』の脚本家・古沢良太はクドカンより野心家?

「僕がつまんないと思うシーンは、飛躍がないシーンです。前のシーンと次のシーンで、話があまり進んでなかったり、進んでいてもその一歩が小さかったりすると、つまんないなと思う。階段で言うと、2段飛ばしや3段飛ばしくらいで進んでいきたいんですよ。飛ばし過ぎて、前のシーンで言ったことと逆のことを次のシーンで言ってるくらいのほうが面白いと思う」(『ゼロからの脚本術』古沢氏インタビューより/誠文堂新光社)

『デート』でも、主人公ふたりのデート当日から時間を遡っていく方法をとっているが、『ゴンゾウ』において時間軸を無視した構成は『LOST』や『新世紀エヴァンゲリオン』から影響を受けたという。が、そのことで「脱落した視聴者」が多かったことも事実。そのことを古沢氏は「『カタルシスがない』と本当に怒った人もいました。狙ってやったこととはいえ、わかってもらえないのはやっぱり悲しい(笑)」(前出)と振り返っている。

 さらに、古沢氏の特徴は、オリジナルシナリオのほか原作モノの脚本にも定評がある点だ。たとえば、大ヒットとなった映画『ALWAYS三丁目の夕日』や『探偵はBARにいる』『寄生獣』、原作を大胆にアレンジした『外事警察』(NHK)、ゴールデンタイムで2.16%という記録的な低視聴率を記録したもののコアなファンを生んで映画化までされた『鈴木先生』(テレビ東京系)なども古沢氏の手によるもの。いずれも原作ファンを納得させただけでなく「原作越え」と評されることも多いが、その秘訣とは一体何なのか。

 まず、脚本を書くときに古沢氏が考えるというのは、「商業的に成功するかどうか」。そこで重要になってくるのが「今」という視点と「普遍性」だという。そして、もうひとつ重要な点に、今までにない「新しさ」と「社会への影響」を挙げる。

「僕は映画でもドラマでも、『この作品で世の中が変わるかもしれない』と思いながら作ってるんです。『これで世の中変えてやる』『政治では変えられないようなことを、僕たちは変えられるんだ!』と思ってやっている。だから『この作品で、もっと社会に明るくなってほしい』というふうにも考えるんです。結果そうなることはまずありませんが、そういう気持ちから、燃えることもあります」(前出)

 なかなか気骨が感じられる力強い言葉だが、たしかに『デート』も、恋愛への関心が薄くなりつつある今という現代性を反映させながら、世間から理解されづらい主人公ふたりに、妙な共感を生み出している。これもひとつの“社会変革”なのかもしれない。

 ちなみに、長谷川博己演じる巧は、「鼻持ちならなかった学生時代の僕がいいそうなセリフ、面倒くさい感じは投影されているかも」(「エンタミクス」3月号)とのこと。現在、「高等遊民」は密かな流行語になりつつあるが、今後、古沢氏によってどんな新しい恋愛像が描き出されるのか、注目してみてほしい。
(サニーうどん)

最終更新:2017.12.13 09:28

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