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渡邉恒雄の追悼報道でマスコミが触れない裏の顔! 中曽根、児玉誉士夫、佐川急便をめぐる疑惑、汚職政治家のファミリー企業にも

政治家と癒着し日本の政治を左右してきたナベツネ 批判も追及もせず放置してきたマスコミ

 さらに、『日本の黒幕』は、マスコミが一切報じてこなかった、贈収賄事件で逮捕された大物政治家とのただならぬ関係についても指摘している。

 その政治家とは元建設相の中尾栄一。中尾は2000年6月30日、建設省発注の工事をめぐり、中堅ゼネコン・若築建設から6000万円の賄賂を受け取ったとして、東京地検特捜部に受託収賄容疑で逮捕された。若築建設は許永中の裏金づくりの舞台になった石橋産業の子会社で、中尾への賄賂は許永中の政界工作の一端ともいわれた。

 ところが、マスコミは報じなかったが、この逮捕で驚きの事実が判明していた。同書を引用しよう。

〈問題は、逮捕当日、中尾の地元・山梨県甲府市に本社を置く「日本ネットワークサービス(以下・NNS)」という会社が同容疑で特捜部から家宅捜索を受けたことだった。
  NNSは山梨県内約18万6000世帯が加入する大手ケーブルテレビ局だが、以前は中尾栄一の典型的なファミリー企業だった。当時の経営陣は、代表取締役会長が中尾栄一、社長が長男・嶺一、取締役に姉の栄子。しかも、NNSの東京支社は、石橋産業の発行小切手を裏書きするなど、事件の鍵を握る中尾の政治団体「東京山栄会」と同住所にあった。
「当時、特捜部はNNSの子会社が裏金づくりに関わっているのではないかと見て、ガサ入れをしたようだ」(当時の司法担当記者)
 ところが、マスコミ各社がこのガサ入れでNSSの法人登記簿を取り寄せたところ、驚きの事実が判明する。取締役欄に「渡邉恒雄」の名前が記載されていたのである。
 たしかに、中尾はナベツネの盟友・中曽根康弘の腹心中の腹心で、ナベツネとも非常に親しい関係にあった。ナベツネが政局を動かす際の料亭密談にもしばしば同席しており、たとえば、98年に自自連立を仕掛けた際も、野中広務との料亭での会談に中尾を「見届け人」として同伴していたと報じられている。
 しかし、親しい政治家とはいえ、報道機関のトップが、汚職政治家のファミリー企業の取締役を務めているとは……。さらに、驚かされたのは当時のNNSの株主だった。筆頭株主は約76万株を保有する中尾栄一だったが、その中尾に次ぐ大株主が読売新聞社だったのである。〉

 この後、記事はナベツネが中尾の会社に取締役として入り、読売新聞が大株主となった経緯についても、記している。詳しくは同書を読んでほしいが、問題は、ナベツネのこうした問題をある時期から、メディアがほとんど報道しなくなったことだろう。

 メディアがマスコミトップと政治権力とのありえない癒着を追及せずに放置してきた結果、ナベツネは日本の政治を左右するフィクサーと化してしまった。

『日本の黒幕』はマスコミが追及に及び腰になっていた要因についても検証した上、いまの状況を予見するような文章で記事を結んでいる。

〈戦後政治を牛耳ってきた “最後の大物フィクサー”渡邉恒雄も98歳。そう遠くない先、泉下の客となる。
しかし、そのとき、メディアが流す夥しい数の追悼特集や回顧報道をどう総括するのだろうか。
現状を見る限り、本稿が指摘した「罪」や「裏面」にまで踏み込む動きが出てくるとは、到底、思えないのだが……。〉

最終更新:2024.12.21 08:09

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