吉村洋文・大阪府知事が醜悪な「てのひらがえし」で百条委員会を否定
だが、もっとも醜悪なのは、吉村洋文・大阪府知事だ。
吉村知事は、斎藤知事が当選したことを受けて記者団に「『すごいですねと、脱帽です、当選おめでとうございます』という内容のメールを斎藤さんに送りました」などと語ったうえ、百条委について、こんなことを言い出したのだ。
「別にやめろという趣旨ではないが、知事に不信任決議を出した議会が、百条委を継続する正当性はあるのか」「百条委員会やってる最中で不信任決議を出して、斎藤さんを完全否定したわけでしょ」
そもそも斎藤知事の不信任決議には維新も賛成に回ったというのに、その不信任決議を可決したことをもって「百条委を継続する正当性はあるのか」と言い出す──。まさに無節操とはこのことだろう。
言っておくが、8月末の時点では、斎藤知事に擁護的だった維新に対する批判が高まったことで、吉村知事は斎藤知事の辞職勧告や不信任決議案提出の可能性に言及。不信任決議案に維新の県議全員が賛成に回っただけでなく、吉村知事も「(知事が説明する)背景や事実関係は、納得できるものではない」と断罪していたのだ。つまり、維新の支持率がガタ落ちするなかでトカゲの尻尾切りをしていたのである。
ところが、斎藤氏が熱烈なネット人気を獲得したと見るや「すごいですね、脱帽です」などと再びすり寄り、「百条委を継続する正当性はない」と主張しはじめたのである。しかも、重要なのは、吉村知事がやめろと言い出し、斎藤知事が欠席することになった25日開催の百条委では、吉村知事も深く関係する「阪神・オリックス優勝パレード」の疑惑についても証人尋問が実施される予定になっている。百条委の中止に追い込みたいという意味では、吉村知事と斎藤知事の思惑は一致しているというわけだ。
このように、「勝てば官軍」と言わんばかりの擁護が相次ぐなか、斎藤知事はその尻馬に乗って疑惑の追及から逃れようという算段なのだろう。
しかし、選挙に勝ったからといって、事実関係が変わるわけがなく斎藤知事の疑惑は何も解消されていない。しかも、今回の斎藤氏の選挙戦をめぐっても大きな問題が指摘されている。斎藤氏の選挙演説での発言と百条委員会での証言の矛盾。フェイク情報が拡散されたこと。そして、斎藤氏当選の最大の功労者といわれる「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首との関係だ。