山谷えり子・元拉致問題担当相、安倍晋三・元首相と統一教会の関係
さらに、「こども家庭庁」への改称については、安倍元首相とともに、山谷えり子氏が積極的に働きかけをおこなっていたが、この山谷氏にも、統一教会と関係があるのではないかという疑惑が持ち上がっている。
2010年の民主党政権下の参院選直前、統一教会の別働隊である勝共連合が山谷えり子氏への組織的な投票を呼びかける内部文書の存在が発覚したことがある。ジャーナリストとして統一教会を取材し、霊感商法批判の先頭に立ってきた有田芳生氏が当時、自身のブログにアップしたのだが、その文書にはこんな文言が掲載されていた。
〈さて、来る7月の参議院選挙でございますが、勝共本部A(編集部注:文書では実名)本部長より資料等届いているかと思いますが、山谷えり子先生の必勝のためにご尽力宜しくお願いいたします。〉
〈A部長の話では25万票から30万票と読んでおります。ジェンダーフリー問題、青少年問題にとってなくてはならない先生でありますし、ここで男女共同参画社会5ヵ年計画が新に内閣府から示され、民主党政権下でさらなる厳しい状況が予想されます。山谷先生、安倍先生なくして私たちのみ旨は成就できません。〉
〈山谷事務所も30万票必勝態勢で臨んでおります。〉
〈どうか教区長を先頭に名簿づくり、声がけ下さいますようお願いいたします。又一番重要なことですがくれぐれも個人名「山谷えり子」と二枚目の投票用紙に記入することを何度も何度も徹底して下さい。自民党、党名ではだめです。〉
統一教会サイドはこの文書について「捏造」だと言っているようだが、その内容はかなりリアルで、統一教会が山谷えり子事務所と一体になって、票読みから名簿づくり、投票の呼びかけまで、徹底しておこなっていたことが伝わってくる。そして、〈山谷先生、安倍先生なくして私たちのみ旨は成就できません〉という記述からは、安倍元首相、山谷氏が統一教会にとって、ほかの政治家とは別格の、重要な存在だったことも浮き彫りになる。
また、この内部文書には、勝共連合本部のA本部長(文書では実名)の名前がしばしば出てくるが、A本部長は江利川安栄・第7代統一教会会長の側近だったと言われている実力者。
ところが、A本部長は一方で、山谷えり子、有村治子ら自民党議員が顧問を務め、「こども家庭庁」への名称変更を迫っていた、前述の「全国教育問題協議会」の事務局員を務めていたのだ。くだんの文書には、こんな文言がある。
〈資料等足りない場合は本部A部長(編集部注:文書では実名)まで連絡下さい。対策上直接山谷事務所に連絡することはやめて下さい。又Aさんも自民党の先生方を集めた全国教育問題協議会の事務をしている関係上名前を変えています。勝共のAは使っていません。本部に連絡して選挙と言って下さい。A部長に必ず伝わります。〉
A本部長は、統一教会=勝共連合の人間だという素性を隠して、山谷氏の選挙運動で重要な役割を担っていたらしいのだ。ちなみに、全国教育問題協議会のホームページにある役員名簿を覗くと、いまもこのA氏の名前がはっきり記されていた。
同団体は、日本会議と密接な関係にある極右団体であることは周知の事実だが、まさか、統一教会系団体の幹部が入っていたとは……。
しかも、繰り返すが、「全国教育問題協議会」は、高橋氏が「こども庁」の問題を指摘し、それを受けた顧問の山谷氏らが「こども家庭庁」への変更働きかけ運動の拠点のひとつにしていた場所だ。その「全国教育問題協議会」に、男女平等を敵対視し、抑圧的な家族観を押し付けようとする統一教会系団体幹部が入っていたとすれば、同団体が名称変更に影響を与えた可能性はおおいにあるだろう。