医師会会長ら専門家の呼びかけを無視しGoTo推奨する加藤官房長官
しかし、政府は専門家の指摘を片っ端から無視しつづけている。実際、脇田所長の発言に問われた加藤勝信官房長官は、17日午後の会見でこんなことを言い出した。
「脇田所長の発言にかんして、厚労省の担当者から所長ご自身にその趣旨を確認した。その確認によると、所長からはススキノについて9月ごろから感染拡大があったが十分にその傾向を抑え込めなかったことが現在の流行拡大につながっているものと思量しているということ。人の動きが活発化していること自体が北海道の感染拡大に影響していることは否定できないが、『GoToトラベル』に東京が追加されたことが原因であると断定しているものではないということと承知しています」
一体どこからどこまでが脇田所長に確認した内容なのか主語が曖昧な上、「道内の感染状況を加速させた可能性がある」という指摘を「断定しているわけではない」とごまかす……。しかも、加藤官房長官は「1度は駆逐されたウイルスが夏に再び東京から北海道に流入した」という肝心な部分をすっ飛ばしたのだ。
さらに加藤官房長官は、中川会長が国民に呼びかけた3連休への警戒に対しても、「適切な感染対策を講じることで、移動による感染リスクを低下させることは可能と考えております。現時点の感染状況を踏まえ、県をまたいだ移動について一律に自粛を要請する必要があるとは考えておりません」などと回答。「GoTo」推奨ともとれる発言をおこなった。
国民は「適切な感染対策」を講じてきたが、いままさに「第3波」が起こっているというのに、その事実から目を背け、一向に政府として感染対策を実行しようとしない──。だいたい加藤官房長官といえば、厚労相として「37.5度以上の発熱が4日以上」という「相談・受診の目安」を打ち出したことにより、多くの人が検査を受けられず、さらには重症化して死亡するケースが相次ぐという事態を起こした張本人だ。しかも、この目安を5月になってやっと修正した際も、「目安ということがですね、何か相談とか、あるいは受診のひとつの基準のように(捉えられた)。我々から見れば誤解でありますけれども」などと国民に責任を押し付けた。この発言は厚労相を辞任するに値する暴言だったが、そんな人物が、いまや何もなかったかのように官房長官として専門家の指摘をスルーしているのである。