首相官邸HPより
本日19日の新規感染者数が全国で2300人を超え、昨日につづいて最多を更新したが、このような状況で菅義偉首相が国民に「自助」を押し付けてきた。
今朝、官邸でぶら下がり取材に応じた菅首相は、昨日の新規感染者が初の2000人超えとなったことについて「最大限の警戒状況にあると認識している」と発言。しかし、つづいて出てきた言葉は、その認識とあまりに矛盾したものだった。
「政府としては、地方公共団体がおこなう営業時間の短縮要請の支援の決定をするとともに『GoToイート』については原則4人以下で飲食をすること、こうしたことを知事に検討することをお願いいたしました」
「ぜひみなさん、静かなマスク会食、これをぜひお願いをしたい。私もきょうから徹底したいと思います」
「最大限の警戒状況にある」と言いながら、「マスクを付けて会食しよう」と呼びかける……。しかも、こう言い終わるとすぐさま記者から背を向けて立ち去り、「総理、『GoToトラベル』の見直しはしないんでしょうか?」と質問を投げかけられても答えることはなかったのだ。
マスクの着用や手指消毒の徹底など国民は自分でやれる範囲の「自助」はやりつづけている。これ以上、何を努力しろと菅首相は言うのか。もし、それさえも緩んでいると言うのなら、それは「最大限の警戒状況」にあるにもかかわらず国民に向けて会見を開こうともせず、さらには政府が国をあげて「GoTo」と呼びかけている緊張感のなさが最大の原因ではないか。
いや、そもそも今回の「第3波」は、夏の「第2波」で徹底した感染拡大防止策をとらなかったばかりか、「GoToトラベル」の東京解禁によってさらに押し広げ、いまにいたったという指摘もある。実際、専門家からも「GoToトラベル」が感染拡大の要因だという指摘や、中止すべきという声があがっているのだ。
たとえば、昨日会見をおこなった日本医師会の中川俊男会長は、「『GoToトラベル』自体から感染者が急増したというエビデンス(根拠)はなかなかはっきりしないが、きっかけになったことは間違いないと私は思っている。感染者が増えたタイミングを考えると関与は十分しているだろう」と発言。「コロナ慣れしないでください。甘く見ないでください」「(今週末の3連休は)秋の我慢の3連休としてください」と警戒を訴えた。
さらに、政府の分科会会長代理である脇田隆字・国立感染症研究所長も、17日付の北海道新聞の取材に対し、こう答えたという。
〈10月後半から道内で感染者が急増した理由について、政府の観光支援事業「Go To トラベル」の対象に10月1日から東京発着の旅行が追加されたことで「道内の感染状況を加速させた可能性がある」と述べた。〉
しかも、脇田所長は〈感染研が国内約1万件の新型コロナの遺伝子を分析した結果、4月ごろに東京から道内に持ち込まれたウイルスは1度駆逐されたが、夏に東京から再び流入したと判明。札幌・ススキノを中心に広がった〉〈東京の感染者数が十分に減らないまま東京が追加されたことで、大量に人の流れができ、無症状の人や対策が不十分な環境などを通じて広がった可能性がある〉と説明したというのだ。
日本医師会会長のみならず、国立感染症研究所長で政府の分科会会長代理という立場にある専門家からの、この分析結果が持つ意味は非常に重いものであることは言うまでもないだろう。