自分たちと安倍首相の蜜月や会食問題を完全にネグった『ワイドナショー』
別に『ワイドナショー』や松本に、安倍政権の7年8カ月を批判しろ、などということを要求するつもりはないが、これはいくら何でも中身がなさすぎだろう。しかも、もうひとつの問題は、松本と『ワイドナショー』が自分たちと安倍首相の蜜月な関係を完全に隠していたことだ。
2016年5月には、選挙期間中に『ワイドナショー』に安倍首相を出演させ(2016年5月1日放送、熊本地震で放送予定がずれて結果的に選挙期間中の放送にはならなかった)、接待と見紛うばかりの安倍政権PRに協力。12月には安倍首相の会食をし、“寿司トモ”(実際は焼肉だったが)の仲間入りまで果たした。
実際、松本は、露骨な安倍応援団ぶりを全開にしてきた。安倍政権の政策は支持し反対意見を攻撃、安倍政権の不祥事についても荒唐無稽な論理を持ち出して徹底的に擁護していた。たとえば、甘利明・元経済再生相が口利き問題で大臣を辞任したときは「TPPどうなんねん」「このタイミングで(大臣辞任を)やることによって、国益とか、何兆円規模の日本にとっての損害の可能性があるわけですよ」とかばい、加計問題は「わき見運転したみたいなもん」と、話を完全に矮小化するという具合だった。
ただ、安倍首相との会食が発覚して批判を浴びたあたりから、こうした露骨な安倍政権擁護はしなくなり、最近では政権不祥事は極力取り上げないという姿勢に転換していたが、それでも今年5月に黒川弘務・東京高検検事長の賭けマージャンが発覚した際も「検事長は新聞記者にはめられた」などとネトウヨばりの陰謀論を展開し政権擁護していた。
安倍政権をここまで長くのさばらせてきた責任の一端を担う存在のひとつであるにもかかわらず、「アベノマスクをやめた」と「サミット写真の立ち位置」しか口にしないというのは、御都合主義、ゴマカシにもほどがある。
松本人志に限った話ではないが、安倍応援団メディアが安倍政権の功罪を総括するなら、自分たちの政権擁護をこそネグらずに、きちんと総括するべきだろう。
(編集部)
最終更新:2020.09.01 03:45