『モーニングショー』では浜田敬子が「問題山積のなかグータッチに違和感」「もっと粛々と」
もっとも、『モーニングショー』では、この田崎氏の解説に対し、反論も飛び出した。
水曜コメンテーターの浜田敬子・元『AERA』編集長が安倍首相の“グータッチ”とその報道ぶりにこう違和感を表明したのだ。
「今日の読売新聞でもグータッチのことが書いてあって、私はすごく違和感を覚えました。やっぱり、もちろん中止っていうことは、みんな楽しみにしている人もいるし、中止はいちばん最悪の結果だったと思うので、延期はよかったと判断されると思うんですけれども。それでも今、感染の拡大がどうするかってことがすごく思っていて、ニューヨークの様子などを見ていると。これで一年延期で、ここでグータッチしてしまうというのが。しかもそれが表に出てしまうというのが。市民感覚とすごく乖離があるんだって思いましたね。
私たちは、延期はしょうがないかなとは思っていましたけど、これからものすごく追加の費用がかかって、もともとオリンピクをやることに関しても多額の税金が使われることに対して、批判的な意見もあったなかで、さらにここで数千億円といわれるような費用が出ることに対して、これ、どっから出るの?と思っているわけです。そのなかで感染拡大防止とオリンピックと、両方ハンドリングしていて、これでやっと感染拡大のほうに集中してくれるかなとは思えるんですけれども、もうちょっと粛々と受け止めてもらいたかったと思います」
何から何まで、真っ当な指摘と言っていいだろう。世界的に感染が急拡大している状況で、一国の総理が自分の任期中の延期に収めたことを手放しで喜ぶということ自体信じがたいが、この延期には、来年夏に開催を強行して感染を拡大させる可能性や、日本が巨額の費用を払わされる問題も指摘されている。
それをメディアやジャーナリストまでが“グータッチした”などと、いっしょになって大はしゃぎするというのはどう考えてもおかしい。
ところが、田崎氏は反省するどころか、浜田氏に向かって「(浜田さんは)オリンピックに反対されているわけではないんですよね?」と食ってかかったのである。
番組はそのままCMに入り、グータッチをめぐる議論は一旦そこで終わったのだが、田崎氏はCM明けにまた「やらなきゃいけないことはいっぱいありますよ。でも、じゃあ中止がよかったのか、延期がよかったのかとなれば、僕は国民の大多数が、中止でなくてよかったね、という反応を示されるんじゃないかと思います」など執拗に強弁していた。
ようするに田崎氏は「五輪批判はタブー」「五輪に反対するのは非国民」というメディアや日本社会の空気を使って、安倍首相や応援団の軽薄な“グータッチ”批判まで封じ込もうとしたのだ。
いや、田崎だけではない。ネットでは安倍応援団やネトウヨもこの浜田発言に「なぜ素直に喜べないのか」といっせいに攻撃を浴びせかけた。
おそらく、安倍首相や官邸は応援団メディアに号令をかけて、この「安倍首相が五輪中止でなく延期を勝ちとった」という全く嘘の手柄話をふりまき、そのことで政権の新型コロナ対応の問題点を覆い隠してしまおうと考えているのだろう。
しかし、恐ろしいのはこんな小学生みたいな手口が、通用してしまいそうなことだ。実際、検査を抑え込み、自治体まかせで検査体制や治療体制をきちんと整えてこなかった結果、いよいよ危険な状況が現出しているというのに、安倍政権への批判は一向に聞こえて来ず、逆に「よくやっている」などというような意見まである。日本国民は安倍首相と心中でもするつもりなのだろうか。
(編集部)
最終更新:2020.03.26 09:48