国民の健康や生命を守ることよりも極右応援団の排外主義実現に必死な安倍首相
もっとも、永田町のこの“百田、有本が安倍首相に中韓入国拒否を決断させた”説については、「たんに百田氏が自慢話として話を盛って吹聴しているだけ」という見方もある。
「安倍首相が中国、韓国の入国拒否を決めたのは百田氏らと会う少し前。むしろ、この方針を決めたからこそ、百田氏らに会う気になったんだろう。中国への弱腰を批判していた百田氏らに報告し、なだめるための会食だったんじゃないか」(全国紙政治部デスク)
しかし、安倍首相が中韓入国拒否を決断したのが百田氏らとの会食前でも会食後でも、安倍首相のその“決断”が極右勢力の顔色を伺うものだったことにかわりはない。
この間、極右安倍応援団は一貫して中国ヘイト、中国人の入国拒否を叫んできた。前述した百田や有本だけでなく、櫻井よしこ、高須克弥、門田隆将、青山繁晴、、そして『Hanada』(飛鳥新社)や『虎ノ門ニュース』(DHC)などの極右メディア……。
もちろん、連中の目的は新型コロナ感染拡大を食い止めることなどではなく、たんに自分たちの中国ヘイトと排外主義を発露したいだけだ。それは、彼らが国内感染が広まり続けたあとも中国人入国拒否を叫び続け、「中国肺炎」(百田尚樹)や「武漢ウイルス」(櫻井よしこ)、「武漢熱」(青山繁晴)などと、WHOが差別を招くとして避けるべきとしている国名・地域名をつけた病名をわざわざ連呼していることからも明らかだろう。
しかし、こうした中国ヘイト丸出しの入国拒否論は少しずつ、中国人の入国拒否をしない安倍政権への不満に転化しつつあった。有名人やメディアは官邸からおいしい餌を分け与えられているためか、百田のように直接的に安倍政権を批判した者はそう多くなかったが、一般のネトウヨや右派勢力の間では安倍政権への失望感が広がり、激しい批判をがなりたてるものも増えていた。
「安倍首相は自分の支持基盤である右派からの批判が広がっている状況に相当焦っていた。緊急事態宣言にこだわったのも、いまになって入国拒否を打ち出したのも、明らかに右派対策。実際、この2つとも、安倍首相が独断で決めたものだからね」(前出・全国紙政治部デスク)
第1次政権で自分の支持基盤である右派に見限られて辞任に追い込まれたことにトラウマがある安倍首相は、右派の批判を異常に気にするところがある。だから第2次政権では、重要な政策決定の際には必ず、この極右応援団の顔色をうかがってきた。ようするに、今回もその延長線上で出てきたものなのだ。
こんな危機状況でも、国民の生命や健康を守ることより、極右勢力やネトウヨ受けだけを考えている総理大臣。そして、その排外思想の具現化はコロナ対策にまったく意味がない。それどころか、ネトウヨの支持を取り戻したことで、本当に必要な国内の検査体制や治療体制への批判封じ込めの動きがより活発になり、さらに対応を遅らせてしまう可能性すらある。もはや、この国は事実上“ネトウヨ”に乗っ取られていると言っても過言ではないかもしれない。
(編集部)
最終更新:2020.03.06 12:21