百田尚樹Twitterより
もはや頭がおかしくなっているとしか思えない。失点挽回と政治的アピールのため国民の私権を制限する緊急事態宣言に向けて動き始めた安倍首相だが、今度は、中国と韓国からの事実上“全面入国拒否”をぶち上げた。中韓両国を対象に発行済みのビザの効力を停止、両国からの入国者全員について、検疫所長が指定する場所で2週間待機することを要請するという。
排外主義的という批判の前に、これ、一体何の意味があるのか。自分たちがクルーズ船のずさんな管理、検査・治療体制の整備放置で、国内感染を拡大させ、いまや国内在住者から国内在住者への感染が主流になっているのに、いまさら中国や韓国からの入国者を拒否してどうしようというのか。そんなことをする暇があるなら、治療体制の整備や一斉休校の補償、マスク確保などをきちんとやれ、という話だろう。
実際、政府対策本部の専門家会議メンバーの押谷仁・東北大教授は東京新聞の取材に「何も聞いていなかった。今はそうしたことをする段階なのだろうか」「まずは国内の対策に力を入れるべきではないか」と疑問を表明している。
しかも、安倍首相が打ち出した2週間の待機先についても情報が錯綜。政府の施設や医療施設に「隔離」するという報道がある一方、自宅やホテルで待機するよう要請するという方向だという報道もある。この混乱状況をみても、結局、一斉休校要請と同じで、後先考えない場当たり的な方針だということは明らかだ。
この期に及んで、こんなトンデモ政策を打ち出すとは、安倍首相のオツムは「中国人の入国拒否さえすれば、新型コロナの感染は食い止められる」などとわめいている情弱ネトウヨと変わりがないのか……などと思っていたら、そのとおりだった。なんと、あの百田尚樹センセイが、安倍首相の今回の決断は自分たちのアドバイスの結果だと自慢し始めたのだ。政府の中韓入国拒否方針が報道された数時間後、百田氏はこんなツイートをしている。
〈ワシが思うに……
先月28日の有本香さんの、総理へのカマシが効いたのではないかと。 恐ろしい顔で「ええかげんに中国に渡航制限かけろや!」と恫喝していたからなあ。
隣で黙ってメシ食っていたワシは、思わずションベンちびりそうになった…〉
たしかに、安倍首相は2月28日、百田尚樹、有本香の両人と会食している。新型コロナ騒動勃発以降、百田は安倍政権が中国人を入国拒否にしないことに腹を立て、批判をエスカレートさせていたのだが、28日、突然〈安倍総理と対決してくるわ。と言うても別にケンカするわけやない。至誠天に通ずるか!〉とツイート。そして、この日の夜20時に有本香とともに公邸に入り、1時間以上にわたって食事を楽しんだ。
この日は、唐突な一斉休校要請が打ち出された翌日で、国民は大混乱している最中。にもかかわらず、安倍首相は専門家のレクチャーを聞くでもなく、現場の声をヒアリングするでもなく、中国ヘイトを喚き立てているだけのド素人ネトウヨ論客のご機嫌取りに時間を費やしたのだ。
これだけでも一国の総理とは思えない行動だが、まさかその会食の席で、中国人の入国拒否を決断したとは……。百田は冗談めかしたネタ話にしていたが、ツイートの内容からすると、3人が中国人の入国拒否について語り合っていたのは間違いないだろう。実際、百田・有本のヘイト仲間である石平はこんなツイートをしていた。
〈政府が中韓からの入国制限に踏み切った背後に百田尚樹・有本香両氏の功労があった。28日にお二人が安倍首相と面会したことは急展開のターニングポイントのはずだ。ご自分のことを厳しく批判した人の意見に耳を傾けて正しい方針転換を行なった安倍首相はリーダーとして素晴らしい!本当に良かった!〉