韓国は企業にも支援、日本の厚労省はHPに「休業手当を支払う必要はありません」
しかも重要なのは、この男性が発熱後も出社し、会社まで電車通勤していたことだ。国内の感染が広がっていることはあきらかだが、感染拡大を防ぐためにも必要なのは、政府が感染を疑われる症状を示す従業員を休業させられる体制をつくることや、従業員や会社に対して補償をおこなうことだ。
だが、こうした初歩の初歩の対策さえ、政府はいまだにとっていない。それどころか、いま現在も感染拡大を助長させるような方針をとっているのだ。
厚労省はHPに「新型コロナウイルスに関する事業者・職場のQ&A」(企業の方向け)を掲載しているが、2月13日時点版では、「新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合、どのようなことに気をつければよいのでしょうか」という問いに、政府はこう回答している。
〈新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合、欠勤中の賃金の取り扱いについては、労使で十分に話し合っていただき、労使が協力して、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えていただくようお願いします。〉
ようするに、政府は対応を企業に丸投げしているのだが、驚きなのは、「労働者が新型コロナウイルスに感染したため休業させる場合、休業手当はどのようにすべきですか」という問いに対して、こう答えていることだ。
〈新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。〉
つまり、労働者が新型コロナウイルスに感染したため休業することになっても、休業補償の対象から除外になり、社員は欠勤か有給休暇となるというのである。休業補償が出ないとなれば、検査を受けなかったり、感染を隠して出勤せざるを得なくなったり、通勤電車や職場で感染を拡大させかねない。にもかかわらず、安倍政権は、自分たちの支持基盤である企業の顔色をうかがって、この期に及んでも感染拡大食い止めに逆行するような方針を打ち出しているのである。
これがいかに酷い対応かは、海外の対策と比較すれば明らかだ。「中央日報」(2月9日付)によると、韓国では入院隔離されている人に対して、14日以上隔離された場合、4人世帯基準で月123万ウォンの生活費を支援することが決められたという。また、隔離された労働者に有給休暇を提供した事業主にも、有給休暇費が支給される(外部リンク→https://s.japanese.joins.com/JArticle/262347?sectcode=400&servcode=400)。