スパルタ教育を受けた子供は「一生懸命仕事をして納税します。立派な日本人になる」
まるで戦前の軍国教育を彷彿とさせるが、これを聞いて反発したのが高木美保。高木は野々村氏が提唱するような教育を受けた生徒の卒業後を心配し、「その根性で社会に出て行ってしまったときにね、その人が指導者になったら後輩をいじめますよ」と真っ当な反論を展開した。しかし、これに対しても野々村氏はこう反論した。
「そういうことはないですよ。言いがかり。そこまでやった子は、社会でも一生懸命仕事をする。そういう経験をした人は一生懸命仕事をします。それで納税します。立派な日本人になる」
高木氏が懸念しているのは「一生懸命仕事をするか?」といったことではない。「根性論で勝ち上がった自らの成功体験をベースに、部下や後輩に対して非常に強権的なスパルタ指導を行って傷つけないか?」という懸念である。
これに対して野々村の回答は「それで納税します」「立派な日本人になる」。ようするに、効率のいい社会の歯車になる、戦前のような国のために命を捧げる捨て駒になれる、と言っているだけなのだ。
野々村氏のような考え方こそが、健康やメンタルを傷つけても結果を出せ、と迫るブラック企業が横行する土壌になっていることがわからないのだろうか。
とにかく終始、こんな調子の野々村氏だったが、少なくとも『モーニングショー』のスタジオにおいては、コメンテーターの誰からもまともに取り合われることはなく、コーナーの最後には野々村氏自身も意気消沈した雰囲気を漂わせていた。
しかし、恐ろしいのは、野々村氏の主張が「時代に取り残された老人の繰り言」ではすまないことだ。
こういった時代錯誤も甚だしい「根性論」「精神論」は今も中学・高校の教育や、大学の体育会に残っているし、そうした教育論はむしろいま、復権しつつある。
そして、野々村氏自身もその主張が評価を受け、いつの間にか「論客」としてもてはやされている。もともと、高校の監督室に旭日旗や神棚を飾るなど、ゴリゴリの右派思想の持ち主だったことにネトウヨ系メディアや極右団体などが目をつけ、その反動的な教育論を語らせているのだ。