五輪ビジネスに組み込まれた新聞・テレビでは五輪批判がタブー化
とくに大手新聞社は軒並みスポンサーに名を連ねている。東京2020オリンピックオフィシャルパートナーには、読売新聞、朝日新聞、日本経済新聞、毎日新聞の名があり、東京2020オリンピックオフィシャルサポーターには、産経新聞、北海道新聞も入っている。
さらにテレビ局にいたっては、高額をつぎ込んで放映権を獲得しており、五輪ビジネスと完全に一体化。問題点を追及するどころか、報道番組ですらチケット販売の告知などPR放送をする始末だ。まともなオリンピック批判などほとんど放送されていない。
こうして大手メディアによる検証や追及がなされなかった結果、オリンピックまではすでに1年を切っているのにも関わらず、なんら根本的な対策がなされないまま放置されている。
酷暑問題だけではない。五輪の影響で妨げられる被災地復興、膨れ上がる費用、誘致に関わる汚職疑惑、会場建設における過重労働、ボランティアという名の無償ブラック労働……。この間、発覚した東京五輪をめぐる数々の問題は、まったく解決していないままである。
しかし、これだけの問題だらけの東京五輪を大手メディアはまともな批判・検証をしないまま五輪礼賛報道を繰り広げ、国民の間に「五輪を批判してはいけない」「日本国民なら五輪に協力して当然」「五輪に文句を言うのは非国民」という空気が浸透。開催が近づくにつれ、「ここまで来たらもう文句を言っても仕方ない」とこの同調圧力はますます強くなっている。
東京オリンピック・パラリンピックの開会式および閉会式のプランニングチームの一員である椎名林檎が以前「国民全員が組織委員会」なる全体主義丸出しの発言をしたことがあったが、ここのところの五輪の問題点をないことにして突き進む様子を見ていると、まさに戦中の「一億総火の玉」を彷彿とさせられる。
この酷暑のなかオリンピック開催を強行することはどう考えても問題がある。もはや対策はない。酷暑下でのオリンピック開催強行による被害を被るのは、日本に住む人々だけでなく、海外からやってきたアスリートや観客も同様だ。むしろ、海外から来た人たちは、高温多湿な厳しい東京の暑さに免疫がない分、熱中症対策に関する知識や経験にも乏しく、危険性は高い。
何よりこんな当たり前の批判すらできない国で、オリンピックなどやるべきではない。今からでも遅くはない、返上するべきだ。
(編集部)
最終更新:2019.08.14 12:49