年金「100年安心」は嘘だったのか、という問いに、金融庁は…
――報告書は、長寿化するからそのぶん不足分が増える、という話ではないですよね。報告書には〈年金の給付水準が今までと同等のものであると期待することは難しい〉とあります。これは、年金給付が将来、どんどん下がっていくということを政府が認めたってことじゃないんですか?
報告書の図表でも示しているように、やはり見込みとして、長寿化、少子高齢化の影響で給付水準は下がっていくというところはあります。仮にこの通り、「下がる」となると、今の支出を前提とすれば、(自助で)賄わないといけない金額というのはおのずと増えてくる。客観的データから言うと、事実ではある。収入が仮に落ちていく、少なくなっていくということだと、貯蓄等で対応という役割が大きくなっていく。長寿化年数がかさんでいけば、対応しなければいけない金額も当然膨らんでくる。今後はやはり、そう言ったこともしっかり考えて、自分が満足する生活水準を実現するために、自助というところ、就労延長、プラスアルファの資産形成も考えていくことが必要ではないかということで、報告書には書かれている。
――給付水準が下がる見通し、減ってくという見通しを立ててらっしゃるということですね、金融庁としては。
金融庁というよりも、厚労省さんに提出していただいた資料を載せているんですけど。
――金融庁だけでなく、厚労省も給付水準が下がっていくと?
下がっていくというか、まあ、「調整されていく」という言葉で表現はされていますが。
――「調整されていく」という言い方はしているけど、同等を維持できないというのは、下がるということですよね?
現時点でいま下がっているというわけではないんですけれども。やはり人口が減って、働き手が少なくなる、いわゆる賦課方式でやっていますので、厚労省さんの資料で示されているとおり、所得代替率で見ると、純粋に下がっていくというのは見込みとしてある。
――しかし、厚労省は年金について「100年安心」を掲げていたと思うのですが、「100年安心」じゃなかったことですか?
「100年安心」というところ、先ほど申し上げた通り、報告書で述べているわけでもないですし、年金制度そのものについてワーキングで述べているわけでもないので。この報告書はそれを否定する話はしていない。
――言及はしてなくても報告書の内容を見ると、「100年安心」は嘘だったんだな、無理なんだなとしか見えないんですが。
タテ割りみたいな話で恐縮ですが、厚労省さんもオブザーバーとして出席していただいて、そのなかで厚労省さん提出のデータを引用して論じてますので、「100年安心」との兼ね合いについては、厚労省さんに見解を聞いていただければと思いますが。我々として、報告書のなかで、委員会の議論も拝聴させていただいたなかで、「100年安心」をとくに関連づけたわけではありません。客観的な事実として、やはり高齢化・長寿化ということを考えると、年金の所得代替率が下がっていくなか、いわゆる「自助」の部分が増えていく可能性がある。その意味で、ここのところを、もう少し充実させていく必要があるのではないかというのが、問題意識なので。