安倍政権の方針のもと、すべてに省庁に広がる「公助より自助」
いかがだったろうか。まさにのらりくらりとした官僚答弁の連続で、肝心の年金破綻の部分については、結局、「厚生労働省に聞いてくれ」。
あんな報告書を出しておきながらを無責任極まりないが、しかし、一方で明らかになったこともあった。それは「年金をあてにするな、資産運用でなんとかしろ」というこの報告書の作成過程に、金融庁だけでなく、厚生労働省も同席していたということだ。HPで、若い世代が将来受け取る年金は、100年先も〈働いている人々の賃金の50%を上回る〉と豪語していた厚労省が、裏では、こんな報告書に協力していたのである。
厚生省からしてこうなのだから、「公助より自助」という発想はいまや、すべての省庁の本音ということだろう。
もちろん、その元締めは安倍政権だ。安倍政権は2013年に社会保障改革プログラム法を成立させたが、その際、「公助」を消し、「自助・自立」を前面に押し出した。その結果、役所がこんな無責任な報告書を平気で出すような事態になったのだ、
しかし、こうした姿勢は弱者切り捨てというだけでなく、マクロ経済政策としても完全に逆行している。経済成長や景気好転のためには、むしろ、社会保障を充実させることで、国民の将来不安を取り除いて、収入を貯蓄でなく消費に回すことのできる環境づくりこそが必要なのだ。
ところが、安倍政権はそんなことに見向きもせず、相変わらず、大企業や一部の富裕層の利益を最優先に、消費より投資を煽っているのだ。
こんな発想しかない連中に政治を任せておいたら、未来に待っているのは“格差地獄”と“デフレの継続”でしかない。そのことを、国民はもっと自覚すべきだろう。
(編集部)
最終更新:2019.06.02 02:54