NHKはピエール瀧作品のかわりにヘロイン過剰摂取俳優出演の映画を放映
NHK BSプレミアムといえば、こんな全身の力が抜けるような呆れ果てた話もある。
NHK BSプレミアムでは、3月16日に『ALWAYS 続・三丁目の夕日』を、23日に『ALWAYS 三丁目の夕日’64』を放送予定だったのだが、急きょ、『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』および『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』に差し替えると発表したのだ。NHKは「もともと近く放送予定があったもの」(「BuzzFeed News」の取材に対し)だというが、なんのジョークなのか。
『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』には、1993年にコカインとヘロインの過剰摂取により23歳の若さでこの世を去ったリバー・フェニックスが、主人公インディ・ジョーンズの少年時代というメインの役どころで出演しているのだが……。
ようは今回の放送中止は、薬物犯罪に関する明確な問題意識によるものなどでなく、単にクレームや批判を恐れての事なかれ主義でやっているだけということがよく現れているだろう。
音楽業界も同じだ。ソニー・ミュージック・レーベルズは電気グルーヴのCDを出荷や楽曲の配信を停止した。
坂本龍一は〈「電気グルーヴのCDおよび映像商品の出荷停止、在庫回収、配信停止」なんのための自粛ですか?電グルの音楽が売られていて困る人がいますか?ドラッグを使用した人間の作った音楽は聴きたくないという人は、ただ聴かなければいいんだけなんだから。音楽に罪はない〉とツイートしているが、Apple Musicなどのストリーミングサイトでも電気グルーヴの音源を聴くことが出来なくなったことに多くの人が怒りを吐露。前述のような対応の撤回を求める署名には、21日13時現在、6万人近い人びとが賛同している。
これから世に出る作品はもちろん、過去作品までことごとく入手できない状態にさせられていく状況。上述したように、こんなことをしていたら、音楽でも文学でも映画でもほとんどの作品をお蔵入りにしなくてはいけなくなる。
しかも抑止という意味でも、こうした動きは逆効果だろう。欧米において、所持や使用に関する薬物事犯は「厳罰主義」から「治療」へと舵を切るようになっている。それは、厳罰主義では薬物事犯を抑えることができなかったからだ。