世間の「こうあるべき」圧力と闘い続けてきたりゅうちぇる
しかし、りゅうちぇるがそうした世間の「こうあるべき」「普通」にいかに抗ってきたか、本サイトでは何度も取り上げてきた。「男らしくない。子どもができても、そういうパパでいるの? 子どもがかわいそう」と言われても、「絶対かわいいパパでいる。人に何を言われても、自分がしっかりしていれば大丈夫」「人に合わせないで自分の好き嫌いを表現できる子、しっかり自分をもった子に育てるので、お父さんがこうやって言われるのがイヤと思うなら『お父さんって思わなくてもいいよ』って言います。何か言われるのが恥ずかしいと思うような弱い子には絶対に育てない」「ずっとそう言われて育ってきたので、こうやって言われるのは人生初めてのことじゃない。家族ができて子どもができても、偽りの自分に慣れたら人に何も教えられない」などと反論し、実際に貫いてきた。
この日に『news zero』ではさらに踏み込んで「伝統的な家族観が失われる」という反対意見についても反論した。りゅうちぇるは「(伝統的にやりたいという)その意見も、もちろんあってもいいと思うんですよね、だって多様性が大事だから。その意見があってももちろんいいんだけど」と留保しつつ、しかし「伝統」に固執することの問題を、こう主張した。
「でもそれ(伝統)にとらわれてしまって、自分の生きていく人生、自分の個性や、自分の色に、自分のなかで制限をかけてしまうというのは、この世界、やっぱり、いまから生きていく世界のなかではとっても悲しいことだから、もっともっとみんなが個性をもって、自分の色で生活できるような世の中になってほしいなと本当に思いますよね」
伝統を大事にすることは否定しないが、伝統に固執することで、個人の生が制限されるのはよくない。個人を犠牲にしてまで伝統を優先させるのはおかしい。りゅうちぇるが「個人であること」「多様性」について、いかに深く思索を重ねているかよくわかる発言だろう。