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池松壮亮が“芸能人は社会問題を語るな”という風潮に異論! 「負の時代の中で俳優をやる意味を考えてきた」

政治的発言を行った芸能人がバッシングされる日本社会

 他にもトランプ批判を明確に行っている俳優は数えきれないほどいる。トランプ批判の急先鋒であるクリス・エヴァンスやサミュエル・L・ジャクソンのツイッターを覗けばかなり頻繁にトランプ大統領への皮肉が書き込まれているし、レオナルド・ディカプリオは、昨年4月にワシントンで行われた、トランプ大統領が提示した地球温暖化対策の見直し政策に反対するデモに「気候変動は現実に起きている」と書かれたプラカード片手に参加している姿を目撃されている。

 ひるがえって、池松壮亮が指摘した通り日本の映画界はあまりに異なる状況だ。

 ただ、日本にも社会問題と接続するような映画を撮る人はいるし、政治に関する発言を積極的に行う気骨ある映画人がいないわけでもない。

 塚本晋也監督はそのひとりだし、自身の戦争体験を交えながら現在の日本社会の危うさを指摘し続ける大林宣彦監督も、生活保護バッシングへの違和感から『万引き家族』を着想した是枝裕和監督も、『検察側の罪人』で原作にはない安倍政権や日本会議への風刺を多数入れ込んだ原田眞人監督もそうだ。

 とはいえ、監督でそのような社会への問題意識を積極的に発信する人はいても、これが俳優となるとその数は激減する。反戦や反核を主張する吉永小百合や仲代達矢や吉川晃司など、数名を数えるほどだ。

 その背景には、欧米とは違い、芸能人が政治的な発言を行うと「芸能人風情が偉そうに語るな」とバッシングを受ける日本社会特有の傾向があるだろう。前述のインタビューで、まさに池松が語っていた「俳優は「言葉」を持つべきじゃない」「俳優はただ作品のピースの一つであれ」という風潮だ。

 そんななか、池松壮亮のようなまだ20代後半の若手俳優が、「映画」と「社会」の乖離を憂いているのはとても心強い。

 池松壮亮は「キネマ旬報」(キネマ旬報社)2018年12月上旬号のインタビューでこのように語っている。

「僕は平成2年の生まれで、物心ついたときから、平成の時代にはネガティブな事件や負の出来事が多く、そういう時代の中で俳優をやる意味を考えてきた」

池松壮亮の今後の活躍に注目したいし、池松に続く若い俳優や女優が増える日本映画界であって欲しい。

最終更新:2018.12.02 09:04

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