裁判の口頭弁論で堂々と嘘をつき、たかじんの娘を中傷する百田センセイ
また、角岡氏は、レポートのなかで、百田氏がこの口頭弁論のなかで堂々と嘘をついていたことも指摘している。原告側弁護士による尋問のなかで、K氏に取材しなかったことを正当化するため、『殉愛』の検証本である『百田尚樹『殉愛』の真実』(宝島社)のことを持ち出し、こう語ったというのだ。
「ノンフィクションを書く場合は、すべて証言をとらなきゃいけないということですが、「(百田尚樹)『殉愛』の真実」という本では、私、それからさくら氏のことをいろいろ書いてますけど、私に取材依頼は1回もありません。そしてさくらさんに対する取材依頼もありません。でも、書いてます。そういうもんです」
しかし、実際には『百田尚樹『殉愛』の真実』取材班は、百田氏やさくら夫人に対して取材の申し込みをおこなっていた。ところが、両名は応じることはなく、それどころか両名の弁護士から〈記事を掲載、配信等することがないよう〉と書かれた「警告書」が送付されている。
にもかかわらず、「私にもさくら氏にも取材依頼は1回もない」などと平気で嘘をつく百田氏。厚顔にも程があるが、このとき原告側弁護人はすかさず「さくらさんに対する取材依頼はあったということは、この前、(2017年)10月に宝島社との訴訟で、そういうお話になったのはご存じないですか?」と指摘。すると、百田氏は「忘れてますね、それは、はい」と返答したという。
法廷で堂々と嘘をついて、それを指摘されると「忘れてました」でおしまい。まさに百田センセイらしい開き直りだが、こうした自ら馬脚をあらわすシーンは、前述のたかじん氏の長女に提訴された裁判の口頭弁論でもしばしば見られた。
被告代理人による主尋問で、百田氏はたかじん氏の長女が名誉棄損とする記述について“誰に対する取材に基づいているのか”を20数カ所のひとつずつ訊かれていったのだが、百田氏の答えの半分以上は、「奥さんに聞いた」。残りの箇所も『そこまで言って委員会』(読売テレビ)の制作会社・ボーイズ代表取締役の相原康司氏、同じくAZITO代表取締役・井関猛親氏など、さくら夫人の代理人的な動きをしていた人物の名前しか出てこなかった。
主尋問は被告の幻冬舎側代理人によるものなので、通常は、きちんとした取材をしていることを立証することが目的なのだが、百田氏は逆に、一方的な取材しかしていないことを自ら暴露してしまったのだ。
さらに、最大の争点であった“たかじんの長女側に一切取材をしないまま誹謗中傷した”という問題に関しても、百田氏は驚くべき主張を展開。主尋問では、長女の話は本のメインではなかったから、というような言い訳をしていた百田氏だが、反対尋問では厳しい追及に窮して「娘さんは信用できないから取材しなかった」と言い放ったのである。
反論の場をもたない一般人に対する一方的な誹謗中傷が問われているのに、「信用できない」などと法廷でもさらなる誹謗中傷を重ねる……。いったいこの作家はどういう神経をしているのだろうか。