募集フライヤーのひとつ(WARNER MUSIC JAPN公式HPより)
秋元康氏とワーナーミュージック・ジャパンが組んで現在オーディションをしている「国民的ガールズバンド」プロジェクトのメンバー募集フライヤーが女性差別的であるとして、現在大炎上している。
問題となっているオーディション参加者募集告知は原宿駅などに貼られていたものだ。
フライヤーは手書き風で複数種類があるのだが、〈秋元康プロデュースガールズバンド 第1期生募集!! 未経験OK 恋愛OK〉という共通コピーが書かれたうえに、〈夢は弾いてかなえろ!〉〈武道館でライブしたい人〉など、メインコピーはそれぞれ個別の文言がおどっている。
〈恋愛OK〉というのをわざわざ打ち出すあたりも絶妙に気持ちが悪いのだが、さらにひどいのがメインコピーだ。
個別キャッチコピーのなかに〈有名人と熱愛したい人!〉〈IT社長と結婚したい人!〉という文言があったのだ
どうしてガールズバンド募集の惹句に〈有名人と熱愛したい〉やら〈IT社長と結婚したい〉といった言葉が出てくるのか。
つまるところ、女性たちの音楽的技術やクリエイティビティ、あるいは音楽を通した自己表現などにはなんの価値もなく、女性にとっての幸せは名声や富を持った男と関係をもつことにあるのだと宣言しているようなものではないか。
日本の音楽シーンではいま、ガールズバンドブームが起きている。SCANDAL、SILENT SIREN、ねごと、SHISHAMO、CHAI、yonige、the peggie、赤い公園、BAND-MAID、リーガルリリー、Hump Backなど、多くのバンドが活躍している。
どうせ、「アイドルの次はガールズバンドだ」というような、適当なマーケティング感覚で進出したのだろうが、いま、活躍しているガールズバンドは、自分たちの内部から出てきた表現にこだわり、同性のファンからも高い支持を得ているバンドがほとんどだ。
そんななか、秋元康氏らは〈有名人と熱愛したい人!〉〈IT社長と結婚したい人!〉などという女性蔑視まるだしのキャッチコピーでメンバーをかき集めようとしているのだ。
いったいどういう神経をしているのか、と首をひねりたくなるが、しかし、プロジェクトの顔である秋元康氏の過去を振り返れば、それも納得がいく。
本サイトで何度も指摘してきたことだが、秋元氏は自らがプロデュースする女性アイドルに女性蔑視的な歌詞を歌わせ、そのたびに炎上を繰り返してきた。
近年におけるその典型は2016年4月に発売されたHKT48のシングル「74億分の1の君へ」に収録されているカップリング曲「アインシュタインよりディアナ・アグロン」の歌詞である。
おニャン子クラブの時代から秋元氏の書く歌詞に女性差別的構造があるのは変わらないが、「アインシュタインよりディアナ・アグロン」はそれにしても差別の強度が強かった。
〈難しいことは何も考えない 頭からっぽでいい 二足歩行が楽だし ふわり軽く風船みたいに生きたいんだ〉
〈女の子は可愛くなきゃね 学生時代はおバカでいい〉
〈テストの点以上瞳の大きさが気になる どんなに勉強できても愛されなきゃ意味がない スカートをひらひらとさせてグリーのように〉
〈世の中のジョーシキ 何も知らなくてもメイク上手ならいい ニュースなんか興味ないし たいていのこと誰かに助けてもらえばいい〉
〈女の子は恋が仕事よ ママになるまで子供でいい それよりも大事なことは そう スベスベのお肌を保つことでしょう?〉
〈人は見た目が肝心 だってだって 内面は見えない 可愛いは正義よ〉