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つるの剛士がネトウヨ活動を本格化?『虎ノ門ニュース』に「いつも見てる」と生出演し「愛国心がある人の足引っ張るな」

ネトウヨ心性をごまかし「HINOMARU」と靖国神社を語ったつるの剛士

 いったい、この人は何を言っているのだろう。だいたい、人々がRADWIMPSの「HINOMARU」に拒否感を示したのは、軍国主義や特攻賛美を思わせるフレーズが無批判に散りばめられていたからであって、日本が好きとか嫌いとかそういうレベルの話ではない。それを「愛国者の足をひっぱるな」とは、ちょっと呆れて言葉が出ないではないか。

 しかし、逆に言えば、こういう論法こそ、ある意味つるのの真骨頂だ。つまり「普通に日本が好きなだけの兄ちゃん」を気取って政治色を薄め、「ふと疑問に思ったことがあって、みんなの意見をききたかった」と振る舞うことで中立のふりをしながら、主張の根幹は安倍応援団やネトウヨ界隈のトレンドを無批判になぞっている、というやつである。

 実際、つるのが『虎ノ門ニュース』で宣伝していた著書もこれを踏襲している。そもそも、「バカだけど日本のこと考えてみました」というタイトルからして「バカ」を予防線に無害を演出する意図が丸見えだが、読んでみると、その主張の根幹は完璧に極右界隈のトレースだった。たとえば靖国神社について、つるのはこんな風に記す。

〈僕は毎年、終戦記念日に靖国神社を参拝します。
「それ見ろ、やっぱりつるのは保守だ! 右翼だ! ネトウヨ(?)だ!」
 と言われそうですが、別に何らかの政治思想に基づく参拝ではありません。靖国神社には、親族が祀られています。なので、僕は祖先のお墓に手を合わせるのと同じ気持ちで毎年靖国を参拝しています。たとえ親族が祀られていなかったとしても、国のために亡くなった戦没者たちに手を合わせることで「右」のレッテルを貼られるのはおかしなことだと思っています。〉

 まさに「戦争で亡くなった人に手を合わせて何が悪い」という靖国擁護論の典型だが、一方で、靖国神社の前身が戊辰戦争での「官軍」だけを祀った東京招魂社であることはおろか、驚くことに、いわゆるA級戦犯合祀(分祀)問題にすら一切触れないのである。

 にもかかわらず、つるのは〈亡くなった人たちに手を合わせるのは、人として当然のことなのに、なぜそんなところまで他国から干渉されなければならないのか……〉と書き、さらには従軍慰安婦に関する河野談話や村山談話もそうだとして〈すぐに謝る、とりあえず謝っておくという曖昧な外交姿勢が結局は今の靖国参拝問題につながっているような気がします〉〈他人から「お墓参りに行くな」と言われているから、相手の顔を立てて自分の家の墓参りに行かない。普通に考えれば、そんなところで他人に気を遣う必要なないはずです〉などというのだ。

 つまり、この自称「日本が好きなだけ」おじさんは、靖国に祀られている英霊とは戦前の大日本帝国のご都合主義から選ばれたものでしかなく、たとえば数十万人にも及ぶ空襲や原爆の死者などの戦災者は一切祀られていないという事実を完全にネグって、「よそから言われて先祖の墓参りもできないのか」と嘯いているわけである。むちゃくちゃにもほどがあるだろう。

 ようするに、これがつるのの話法のキモだ。議論の前提をことごとく無視しながら、表層的すぎる暴論を平易な言葉で表現し、同時に「一国民の一意見ですが」などと加えることで政治的無垢を装い一般化しようとする。タネを明かしてしまえばなんてことない、カマトトぶった詐欺の話術である。

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