紗倉まなはAV女優へのスティグマと戦い続ける決意を語った
紗倉が文章を書く仕事をしている理由のひとつに、AV女優という職業に対する世間から差別意識をなくしたいという思いがあるのは間違いない。
事実、映画『最低。』の記者会見で、「この作品の一つの意図として、AV業界で働く人々へのスティグマ(偏見・負の烙印)をなくしたいという意図はありましたか?」と質問された紗倉は、「もともとそういう気持ちはずっと思い続けて、いまもそういう自分は仕事をしているということもあるので、ずっと偏見はなくなればいいなと思っていたんですけれども、ある種AV女優も普通の一人の女の子なので、年間1000人以上の方がAVデビューしていると言われてるんですけれども、それだけいるということは、やはりそれだけの女の子の普通の日常もあるということで、そこを描けたらいいなという思いで本は書かせていただきました」と答えている。
しかし、現実には、AV女優たちにはひととひとりの個性はほとんど認められず、少し個性を出そうとするだけで、紗倉が浴びた「肉便器は黙って脱いでろ」などと同じような差別的言葉が投げつけられる。
いや、AV女優だけではない。日本では、女優やモデル、アイドルといった職業についている女性がほんの少しでも自分の意見を言うと、ことさらに炎上する傾向がある。
その典型が水原希子だ。水原はアメリカ人の父と在日韓国人の母との間に生まれた出自をあげてヘイトスピーチを浴びせられるなど、ネットがもつ匿名性の暴力の被害が特に著しい芸能人。現在の日本の芸能界のなかで、ことさらに水原だけが執拗な攻撃を受ける背景に、韓国ヘイトというグロテスクな差別感情があるのはもちろんだが、もうひとつ、彼女が自分の意見を口にする女性であることは無関係ではないだろう。