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JASRACの次の標的は映画業界! 次々と徴収の手を広げるJASRACの強欲…ミニシアターや名画座は存亡の危機に

爆風スランプのドラマーがJASRACの不公平な著作権料分配を告発

 しかもJASRACがここまで血眼になって徴収しているのが、本当に著作権者であるアーティストのためなのかは非常に疑わしい。実は、肝心のアーティストへの著作権料の分配に関しても問題が指摘されている。今年8月、爆風スランプのドラマーであるであるファンキー末吉氏は、著作権料の作曲者らへの分配が適正になされていないとして、調査と業務改善命令を出すよう求める上申書を文化庁に提出した。

 ファンキー末吉氏は会見を開き、著作権料がきちんと著作者に支払われていないと主張。その根拠として、自分自身も爆風スランプなどで2000年からの10年間に全国のライブハウスで約200回のライブを開き自分が著作権者となっている楽曲を演奏したが、それに対する分配が1円も入っていなかったと語った。

 このようなことが起きた原因は、JASRACがとっている包括契約という方式にある。この契約では、ライブハウス側は使用された楽曲を一曲一曲報告して個別にJASRACに払うのではなく、決まった額を包括使用料として支払うことでJASRAC管理楽曲を自由に使う許諾を得ることになる。その際、JASRAC側は、すべてのお店に人員を配置して何の曲が歌われたか調べるといったことはせず、一部のモニター店での演奏実績を基準としたサンプリング調査で徴収した著作権料の分配を決める。だから、そのサンプリング調査の網の目から漏れた場合、ファンキー末吉氏のようなケースが起こるのだ。ちなみに、ファンキー末吉氏はJASRAC側にサンプル店の公開を求めたそうだが、それにもまったく応じてくれなかったという。

 この包括契約の方式は放送の分野でも適用されていた。「どの曲が何回放送されたか」などを1曲ずつ正確にカウントして楽曲使用料を算出する方法をとらず、放送局がJASRACに月単位、または年単位で一括して払うことにより「JASRACに登録されている曲はすべて使用可能」という許諾をとる方式を採用していたのだ。つまり、JASRACがこの契約システムを変えないかぎり、放送局はJASRAC以外の著作権管理会社に登録されている楽曲を使用するごとに追加の使用料が発生することになる。

 そこで当然起きるのは、JASRAC以外が管理している曲はコストがかかるし、手続きも面倒だから放送しないという動きである。なぜなら、JASRACは市場の90%以上を独占しており、JASRACに登録されていない曲を締め出したところで、放送局側は特に不便はないからだ。

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