加計問題で行政が歪められたという証拠はたくさんある
まさに正論だが、しかし、安倍政権がそんな自らの不正を認めるようなプロセスを踏むとはとても思えない。実際、前川氏も「残念ながら、たぶん、それはしないでしょう」と語る。
事実、林芳正文科相は10日の設置審の答申を受けて、すぐにも加計学園獣医学部を認可する方針だという。安倍政権は“李下に冠を正さず”どころか、結局すべて“総理のご意向”どおりに事を進め、どさくさ紛れの認可をもって幕引きをはかろうとしているのだ。
しかし、加計問題はまだ終わってはいないし、終わらせてはならない。前川氏もこのように語る。
「加計学園については、もともと不公正・不公平な審査をしたわけですから、きちんと審査すれば本来は通るはずがないのでは。このまま通るなら、行政が歪められているとしか言いようがない。まさに行政の私物化です。
行政が歪められたという状況証拠はたくさんある。総理の意向を受けて指示したと思われる人はみんな『覚えていない』と言っていますが、受け止めた側である文科省側にはたくさん証拠があります。
私自身も、内閣府の藤原豊審議官の発言記録である『総理のご意向』文書を実際に見ていますし、和泉首相補佐官から『総理が言えないから代わって言う』と言われました。萩生田官房副長官の『総理はお尻を切っていた』という発言も文書に残っている。
行政が歪められ、国家権力が私物化された疑いは極めて濃厚です。設置認可される・されないにかかわらず、その疑いは残ります。設置審の認可判断によって幕引きするのではなく、国政の私物化は国会の場できちんと追及されるべきだと思います。
加計孝太郎理事長や今治市の菅良二市長、当時の内閣官房・内閣府の関係者らには、嘘をつけば偽証罪に問われる証人喚問で証言してもらうべきです」
前川氏の言うとおり、加計学園獣医学部新設が「総理のご意向」だったことを示す証拠は山ほどあり、安倍首相はそれらの疑惑を何ひとつ説明できていないのだ。そしてこれは安倍応援団が強弁しているような「くだらない問題」などではなく、まさに「行政のプロセスが不当に歪められた極めて重大な問題」なのである。国会そしてメディアも、追及の手をゆるめてはならない。
(編集部)
最終更新:2017.11.10 04:41