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前川喜平・前文科次官に直撃!加計獣医学部認可の動きに「このまま通るなら、行政の私物化」「諮問会議で再検証を」

獣医学部が国家戦略特区に値するのか、諮問会議で再検証を!

 つまり、問題は設置審の答申ではなく、その先にあるというのだ。文科相が認可する前に、国家戦略特区における獣医学部の新設条件に適うかどうか、あらためて再検証が必要だと前川氏は訴える。

「2016年11月9日の国家戦略特区諮問会議で判断したと、政府は説明しています。でもその時点では、実際にどんな獣医学部になるか確認していない。『世界に冠たる獣医学部』などという看板をかかげているだけで、具体的な中身は明らかになっておらず、実際に閣議決定された条件に適うかどうかは、検討されていません。
 どんなカリキュラムで、どういう教員を集めて、どういう学生を対象に、どういう教育・研究をするのか、そのためのどういう施設があるのか。それらが条件に適うものかどうか、いまあらためて検証が必要です。
 そもそも国家戦略特区の条件である『産業の国際競争力の強化や国際的な経済拠点の形成に資する事業』というのを満たすものなのか。
 2015年に閣議決定された4条件は『既存の獣医師養成でない構想』『ライフサイエンスなどの新たに対応すべき分野で具体的な需要』、『既存の大学・学部では対応困難』『獣医師の需要動向も考慮』というものですが、全体の需給のバランスのなかで、これらの4条件を満たしているかどうか、やはり検証すべきです」
 
 たしかに、この検証作業は加計学園に限らず、すべての国家戦略特区に必要なプロセスだ。そうでなくては、規制改革そのものが政治家のやりたい放題、利権の温床になってしまう。ただし、前川氏は検証の場は文科省ではないという。

「検証の場は、国家戦略特区諮問会議です。入学定員140人ということや、どういう教員組織なのか、あるいはどういうカリキュラムなのかということは、去年の諮問会議の時点ではまったくわかっていませんでした。
 その検証をあらためて諮問会議でしたうえで最終的な判断をすべきであって、このまま文科大臣がストレートに認可するのは、おかしい。
 設置審に加計学園が提出した内容を、あらためて諮問会議で審査すべきです。諮問会議で検証の結果、認められれば、文科省に戻して文科大臣が認可する、というのがあるべき手順です。
 このままでは特区としての判断の責任まで文科省に押しつけていることになり、それでは困ります。文科省にそこまでの判断はできない。たとえば獣医師の需給バランスについては農水省が参加しないと議論が成り立ちませんし、ライフサイエンスなど新分野における具体的な需要についても農水省あるいは厚労省も一緒に議論しないと結論など出ませんから。
 特区としての特例を認める判断の責任は、諮問会議、内閣府、最終的には内閣総理大臣にあります」

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