ワンダーウーマンはフェミニズムのアイコンとして用いられてきたキャラ
『ワンダーウーマン』という作品は連載開始以来、女性解放運動と縁の深いキャラクターであり、「強い女性」や「自立した女性」の象徴として度々用いられてきた。昨年10月にはキャラクターが国連名誉大使にも任命され、その記念式典の壇上では、1970年代にテレビドラマ版の『ワンダーウーマン』シリーズで主演を務めたリンダ・カーターがこのようなスピーチをしている。
「ワンダーウーマンはみなさんの内なる力を引き出してくれます。世の中の女性のみなさん、女の子たち。あなた方は何にだってなれるのです。夢見ることを忘れないでください。あなたの中のワンダーウーマンは、必ず期待に応えてくれるから」(ウェブサイト「ORICON NEWS」)
そんなことから、今回の映画『ワンダーウーマン』は、いわゆるアメコミアクション映画の主要ファン層ではない女性の観客も多く劇場に足を運んでおり、ウェブサイト「TVグルーヴ・ドット・コム」では〈アメリカでは通常スーパーヒーロー映画は60%以上が男性客だが、本作では女性の観客が50%を超えている〉と分析されている。
こういった背景を踏まえれば、なぜ映画ファンが「女は一人じゃ眠れない」という曲タイトルに怒っているかがよくわかるだろう。
とはいえ、問題とされている「女は一人じゃ眠れない」に関しては、ラジオなどでのオンエアー解禁前であり(21日解禁予定)、現状明かされているのはこの曲タイトルのみである。なので、蓋を開けてみたら、曲タイトルとは裏腹に「女性の力」を高らかに歌い上げた『ワンダーウーマン』らしい作品になっている可能性もある。
ただ、あまり期待はできないかもしれない。というのも、秋元康氏には、これまでも女性蔑視的な歌詞を大量に書いてきた経緯があるからだ。
町山氏は一連のツイートのなかで、ウェブサイト「歌詞タイム」に掲載されているHKT48「アインシュタインよりディアナ・アグロン」のリンクを貼りながらこのようにツイートしている。
〈こういう歌詞書いてる人が「ワンダーウーマン」のイメージソング? ちなみにワンダーウーマンはものすごい勉強家でルーブル美術館の学芸員です。〉
「アインシュタインよりディアナ・アグロン」は、昨年4月にリリースされたHKT48のシングル「74億分の1の君へ」のカップリング曲。その内容があまりに女性蔑視的であったことから、発売されるやいなや炎上した。
〈難しいことは何も考えない 頭からっぽでいい 二足歩行が楽だし ふわり軽く風船みたいに生きたいんだ〉
〈女の子は可愛くなきゃね 学生時代はおバカでいい〉
〈テストの点以上瞳の大きさが気になる どんなに勉強できても愛されなきゃ意味がない スカートをひらひらとさせてグリーのように〉
〈世の中のジョーシキ 何も知らなくてもメイク上手ならいい ニュースなんか興味ないし たいていのこと誰かに助けてもらえばいい〉
〈女の子は恋が仕事よ ママになるまで子供でいい それよりも大事なことは そう スベスベのお肌を保つことでしょう?〉
〈人は見た目が肝心 だってだって 内面は見えない 可愛いは正義よ〉