自民党がヒップホップを名乗る資格がないのは弱者を迫害しているから
もちろん、言葉遊びをメインに据えた歌詞の楽曲や、ラブソング、パーティーソングも並行して多く歌われており、反体制的なコンシャスラップばかりではなかったということもまた認識しておく必要はあるが、こういった文化背景から、ヒップホップが政治を扱うのは「意外」でもなんでもないのである。
音楽ライターの渡辺志保はツイッターにこのように綴っている。
〈ヒップホップは常に政治と密接な関係にあることは明らかですが、逆に自民党のお偉いさん方がなぜ今、ヒップホップと政治を結びつけたのか、その本質部分に疑問湧きました。PEやケンドリック・ラマーの曲でも聴いたのかしら…?何にせよ「お前が言うなよ」と思ってしまいましたが…。〉
この問題が炎上し始めるや否や、ネトウヨからは「SEALDsがヒップホップを語るのは良くて、自民党がそれやるのはダメって、二枚舌過ぎる」といった意見が多く出た。
確かにSEALDsは、メンバー自身がヒップホップからの影響をしばしば口にしており、デモのコールなどにもその影響がよく出ている。また、ラッパーのECDがコーラーを務めたり、スチャダラパーがSEALDsの集会に参加してライブを行ったりと、ヒップホップ側の人たちもSEALDsの活動を応援していた。
ただ、今回、「政治って意外とHIPHOP」に疑義を呈している人たちは、政権与党がヒップホップをもちだしているからそのような意見を発しているのではないのである。
人種差別を公然と行い、新自由主義的価値観のもと弱者をどんどん切り捨てていく一方で、オトモダチや大企業にはとことん便宜を図る昨今の自民党があまりにもひどく、そして、それはヒップホップという文化が表明してきたものとあまりにも乖離しているからだ。