大手出版社・講談社がヘイト本を出版した責任
しかし、呆れてもいられないのが、そのケント氏による粗雑なヘイト本『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』が、あの講談社から出版されているという事実だ。
もともと、この手の中身スカスカのヘイト本や嫌韓反中本は、ワックとか青林堂、扶桑社といったバリバリのヘイト、極右出版社が発行元になっているケースがほとんだだった。
ところが、今回は出版業界最大手の出版社がこんなネトウヨのデマに丸乗りするようなヘイト本を出してしまったのである。当然、世間に与える影響もいままでとは比べものにならないし、実際、『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』が30万部という異例の売れ行きになったのも、講談社が版元だったということが大きく関係しているはずだ。
講談社はこれまで、人文、社会科学分野で良質な本も多数手がけ、かつては月刊「現代」や「G2」を舞台にすぐれたノンフィクションも多数出版してきた。同社で本を出したり、原稿を執筆したことのある学者、作家、ジャーナリスト、評論家が、この本を読んだら一体どう思うだろうか。
なかには、抗議の声を挙げたり、あるいは執筆拒否をする動きも出てきかねないと思うが、しかし、出版不況の深刻化でこの大手のヘイト本参入はこれからさらに拍車がかかるかもしれない。「ただ売れる」という理由で、大手出版社から他民族への憎悪を煽るだけの中韓ヘイト本が続々と出版され、百田尚樹やケント・ギルバートのような、ネトウヨ作家、タレントに注文が殺到する。もはや、この国の出版文化は末期的というしかない。
(編集部)
最終更新:2017.12.05 01:30