右翼サークルと海外向けを使いわける“二枚舌”は安倍も同じ
とにかく何から何まで、歴史修正主義、軍国主義まるだしの稲田氏だが、しかし、この極右政治家は防衛大臣に就任して以降、国内外から批判を浴びるたびに「私は歴史修正主義者じゃない」などと繰り返し弁明し、追及から逃れてきた。お仲間の極右界隈では、本稿で紹介したような発言を連発しながら、世間一般に向けては素知らぬ顔。こうしたダブルスタンダードを続けてきたのだ。
今回の問題を機に、こんな人物を防衛相に抜擢した安倍首相の任命責任を改めて追及する必要があるが、しかし極右の二枚舌という意味では安倍晋三も同じだ。安倍は若手時代には自民党右派の勉強会で「韓国は買春国家だった」という趣旨の発言をしたり、第一次政権のときには河野談話、村山談話の撤回を掲げていた。そもそも安倍の掲げる「戦後レジームからの脱却」なるスローガン自体、渡部氏らが主張してきた「東京裁判史観の克服」の言い換えでしかない。
第二次政権では、主に米国オバマ政権からの批判を受けて、欧米諸国に向けてはややトーンダウンしたものの、それでも南京事件の世界記憶遺産登録に対してユネスコへの分担金を凍結したり、15年末に韓国と慰安婦問題での合意を宣言したかと思えば少女像設置に対して駐韓大使らを引き上げたりと、実際には歴史問題で強硬的な姿勢を取り続けている。
にもかかわらず、安倍首相は海外での演説の際には、「自由、民主主義、人権、法の支配、こうした普遍的な価値を高く掲げ、世界の平和と繁栄をリードする」などと耳当たりのよい言葉を発し、自分の歴史修正主義をひた隠しにしようとしている。
安倍首相にせよ稲田防衛相にせよその本質はもはや明らかなのに、こうしたダブルスタンダードを、国内マスコミはなし崩し的に放置してきた。何度でも繰り返すが、こうした歴史修正主義は日本の軍国化と地続きだ。そろそろ、新聞やテレビは、日本の内閣がいまどれだけグロテスクな戦前回帰的思想に取り憑かれているか、徹底的に検証するときなのではないか。
(編集部)
最終更新:2017.12.05 01:16